この記事をまとめると
■ダイハツ・キャストの魅力を紹介
■当初は個性的な3モデルが用意されていた
■現在では1モデルがラインアップされている
ポスト「ミラジーノ」として鮮烈なデビューを果たす
デビュー時に存在した3つのボディタイプ
2015年に登場したダイハツ・キャスト。2014年にいち早く登場した6代目ムーヴとメカニズムの多くを共有していました。車体にかかる力や路面にかかる力をコントロールし快適性と操作性、動力性を高めるフォースコントロールコンセプトをムーヴともども採用したことが大きなトピックスといえるでしょう。
機構面は後ほど詳しく説明しますが、トピックスといえば3つのボディバリエーションが存在したこともあげられます。
残念なことに2020年のMCによりボディバリエーションは1つになりましたが、キャストとはどういうクルマなのかを解説していきましょう。
独自機構やチューニングを施したアクティバとスポーツ
先ほど述べた様に、キャストは多彩な3つのボディタイプを用意しデビューしました。
その3つとは街中でおしゃれに使えるハイトワゴンの「スタイル」、スタイルをベースに最低地上高を30mm上げ樹脂製のプロテクターなどで身を纏いSUVテイストに仕立てた「アクティバ」、ホットな走りを可能とした「スポーツ」です。
元々、ムーヴをベースとしたスペシャリティモデルとして開発されたキャスト。1バリエーションのみではユーザーの多様なニーズを汲み取れないことが複数バリエーションを用意した理由です。
それぞれのボディタイプは見た目のみならず機能面での差別化も図られていました。
「アクティバ」には悪路走破性が高い4WDシステムを装備し、「スポーツ」には専用チューンが施されたサスペンションを投入するなど独自機能を装備。ただ、独自機構を備えた「アクティバ」と「スポーツ」が現在はラインアップから落とされたことは皮肉といえるでしょう……。
また、3つのバリエーションを備えたもうひとつの理由は、躍進するライバル車への対策、またダイハツの後継車問題にもありました。
そもそも、キャストの登場は2009年に製造が終了したミラジーノの後継モデルが用意されていなかったことが開発につながるきっかけです。キャストのベースモデルとなる「スタイル」はクラシカルなフロントフェイスやモールが似合う佇まいなどまさにミラジーノの後継モデルといえる存在感を保持しています。
一方、SUVテイストの「アクティブ」は軽市場で大きな人気を集めていたダイハツ・ハスラーのライバル車としてはもちろん、テリオスキッドの後継モデルとしての役割も兼ね備えて開発したとされています。
「スポーツ」は当時、軽ホットハッチとして存在感を誇っていたアルトワークスやターボRSの対抗馬としてはもちろん、コペンが欲しいけど実用性を求めるユーザーに訴求する、いわば「4人乗りのコペン」としての立ち位置も期待されていました。
ただ、ダイハツが考えていたほどユーザーは3つのバリエーションを揃えたことの価値を理解できませんでした。結局、3つのモデルはベースモデルからの派生モデルとしてしか認識されず、ユーザーにとっては中途半端な存在だったのです。
販売が中止された「アクティバ」の後継モデルはタフトが務めていますが、見た目はもちろん新たな価値観を備えた軽SUVモデルとして開発されたことで人気を集めています。
ボディとともに多彩なボディーカラーやエンジン
3つのボディを備えたデビュー当時のキャストはエンジンがNAとターボ(スポーツはターボのみ)、駆動方式もFFと4WDから選択することが可能で好みや使用状況に合わせて多彩な選択肢を備えていました。またカラーバリエーションも豊富で多くの選択肢があったことも特徴です。
「スポーツ」こそターボエンジンを搭載する1グレードのみでしたが、「アクティバ」と「スタイル」はベースモデルの「X」をはじめ、先進安全機能スマートアシストを備えた「X“SA II”」、上級仕様「G“SA II”」、ターボモデル「GターボSA II”」を用意。それぞれにFFと4WDを選ぶことができました。
またボディカラーも3バリエーションそれぞれにルーフ部の色彩が異なる2トーンカラーを含む全11色の多彩なカラーを選ぶことができました。
新開発の骨格を採用し快適性&操安性を両立
先ほどお伝えしたようにキャストは6代目ムーブから採用された設計コンセプト「Dモノコック」を用いています。
「Dモノコック」とは軽量剛性ボディ骨格構造“Dモノコック”、支持剛性を高めた“Dサスペンション”、パワートレイン制御をワンタッチで制御可能な“Dアシスト”と3つの機構により構成され軽量化と高剛性を両立した構造となっています。
プラットフォームそのものは5代目ムーヴをベースに新コンセプトの元、改良が進められましたが、アッパーボディはムーヴのものとは違う独自の設計を採用。ボディ外板のフェンダーやリヤハッチには樹脂素材を採用し軽量化を図りました。
サスペンションは6代目ムーヴと共通ながら独自のチューニングを施しています。なかでもスポーツはスタイルよりバネ定数を高めに設定するなど、走りに特化した設定を行いました。