フェラーリは納車の順番にヒエラルキーがある
この関門を乗り越えて、たとえば「投資目的でフェラーリの新車を買おう!」と決めたとしよう。正規ディーラーに行き、「あのー、フェラーリをください」と頼んだとする。営業マンは丁寧に対応してくれるが、納期を聞いてビックリ。早くて2年後だ。まぁランクルは4年待ちなので、それよりは早いですが……。
フェラーリの場合、納車の順番にヒエラルキーがあり、購入の実績のない客は後回しになる。国産車は基本的に先着順だし、限定モデルも応募多数なら抽選になるが、フェラーリは格差社会の縮図。ポッと出の新規客から、優遇されるお得意様にのし上がるためには、何台も新車を購入して修行する必要がある。
そこまで到達すれば、限定モデル購入の声がかかるようになり、購入後、超高値で転売することも可能になったりするが、そこまでの道のりが遠すぎて気が遠くなる。この試練を乗り越えられるのは、クルマ好きだけなのだ。
中古車にはそういったヒエラルキーはないので、パッとお店にいってその場で買うこともできる。中古フェラーリ専門店には、たまにそういう客が来るというが、実際に購入にまで到達した例はないという。やっぱりどれを買えばいいのかわからないし、そもそも中古フェラーリはすでに値上がりしていて新車より高かったりするし、もちろん値上がりが保証されているわけでもないし、勉強するのも大変だし、置き場が必要だし、いろいろ面倒くさくなってしまうからだ。
かつてバブル期には、全然クルマに興味がないのに、フェラーリF40を3台買った人がいたと聞く。もちろん値上がりを狙ってのことで、一切乗らずに倉庫に置いていたらしい。が、その人が買った値段は1台2億円以上。間もなくバブルは弾け、F40の相場は奈落の底(4000万円程度)まで暴落した。その後の顛末は知らないが、大損したことは間違いない。
あれから30年。最近の高騰により、F40の相場は、モノによっては2億円を超えた。つまり現在までずーっと所有していれば、ほぼトントンというところまで来たわけだが、30年間の倉庫代は、いったいいくらになるのか?
クルマ好きでもないのに、スーパーカーで儲けようなんて思わないほうがいい。それは、クルマ好きだけに巡ってくる「棚からボタモチ」なのだ。