この記事をまとめると
■クルマに限っては「最新が最良」とは言い切れないモデルも多くある
■バブル期に作られた国産車は世界に誇れるほど優れた技術が詰め込まれていた
■中古でバブル期の高級車を手に入れるのもオススメだ
「最新は最良」と言いたいがクルマに限ってはそうとも限らない
「昔はよかった」
こんな年寄りの戯言、口にするのもダサいですよね。だいたい、現代的なモノ、新しいトレンドが理解できない、適応できないのはネタミ・ソネミ・ヒガミに過ぎません。
クルマのような工業製品においてはポルシェならずとも「最新が最高!」というのが常識といってもいいでしょう。
が、実際はそう言いきれるものでもありません。
なぜなら、昔は地球温暖化なんてお構いなしに排ガスまき散らせたし、安全基準だってユルユルなんてもんじゃなかったからね(いずれも、当時の先端技術こそ投入されてはいたものの、セールスポイントの目玉にはなりづらかった、というのが無難な表現かもしれません)。
とどのつまり、クルマが今よりもずっと自由だった頃、ずばりバブル期には「よかった」クルマがどっさりあったということ。独自技術がふんだんに注がれ、スタイリッシュでリッチなモデルが数多く生まれていたのです。
国産各社がバブル期にフラッグシップカーとしてリリースした数々のモデルを思い起こせば、年寄りだけでなく、若手の皆さんだって思わず「昔はよかった」とつぶやくこと間違いありませんね。
なかでも、平成元年にスタートしたマツダの新たな販売チャネル「ユーノス」(取締役の前で「農協みたいなマークっすね」と言って苦笑いされました)のフラッグシップ「コスモ」は頭ひとつ抜けた存在ではないでしょうか。
全長4.8mを超える2ドアクーペは、トヨタのソアラ、ニッサンのレパードくらいだった市場に「ヤバいのきた!」感マックスで登場。
ロングノーズ/ショートデッキのデザインに、当時は珍しかった多層メッキ塗装(通称「サバ色」見る角度で色合いが変わるもので20B搭載モデルのみの設定。ちょうど青魚のようなニュアンスだったためこんな呼び方されてました)、インテリアには仔牛10頭分の革を使うという、今なら動物愛護家が殴りこむレベル。
その上、ウッドパネルはイタリア製(ホワイトメイプル)ながら、これ見よがしな使い方をしないという上品さ。
また、ご承知のとおり搭載されるのは2ローター13Bと3ローター20Bの2タイプ。評判は極悪燃費やら極上のフィーリングやら毀誉褒貶バリエ豊富なんてもんじゃありません。
とはいえ、20Bに投入されたのは、マツダしか作れないエキセントリックシャフトや959もビックリなシーケンシャルターボなど、現代でも立派に通用するテクノロジー。
それゆえ、20B搭載車のディーラー向け整備マニュアルは作られることなく、すべて広島本社によるメンテナンスが指定されていたという噂もあるほど。
乗っちゃとにかく「軽くて速い!」てな印象。シーマのモーターボートみたいな加速や500Eのちょっパヤとも違い、なんか、こうヌメっと速い(笑)ロータリー特有の盛り上がりも、ぶ厚い遮音・防振のおかげなのかリッチな車内ではほぼ感じることもなく、1600kg程度の車体をそれこそフワリと走らせてくれました。
また、当時ロードスターの長期連載をしていたご褒美に、ユーノスからスコットランドでの試乗会にお招きいただいたのですが、台数の関係で若手下っ端だった筆者は、道中ほとんど後席という貴重な体験も!
狭いけど、928よりは我慢できた記憶もアリ。片田舎のダメな道でも、BSのレグノだったかな、乗り心地もよくてハイスピードコーナリングもそれなりにこなしてましたよ。