生後15カ月までは「後ろ向き」に座らせることが義務
この取り付けはなかなか重労働なので、毎回やるのはとても大変。複数台のクルマで1つのチャイルドシートを使う場合など、ちょっと嫌になるくらい面倒なことだと思います。そこで、こうした重労働から解放しつつ、誤装着をなくす方法として、シートベルト固定タイプではなく金具で固定する「ISOFIX(アイソフィックス)」が導入されました。これは、クルマ側にあらかじめ設置されたアンカー金具に、チャイルドシート側のコネクターをさし込み、チャイルドシート上部のテザーアンカーをクルマ側の金具に取り付けるか、チャイルドシートの脚部をフロアの高さに合わせて固定し、グラグラしなければ装着完了。強い力も必要なく、誰でも簡単に確実に装着できる固定方式となっています。
日本では2012年7月以降に発売された新型車から、ISOFIX適合が義務化されていますが、車種によってはそれ以前に発売されたクルマでも対応しています。また、最新のチャイルドシート安全基準「R129(i-SIZE)」では、ISOFIX対応のチャイルドシートのみに適合認定を与えることになりました。もちろん、旧車に乗る人たちのために従来のシートベルトタイプのチャイルドシートもしばらくは販売されますが、徐々に減っていき、ゆくゆくはISOFIXタイプがメインになると思います。これによって誤装着の割合も減っていくと期待されます。
ただ、いくらISOFIXタイプで固定していても、乗せ方の間違いには引き続き注意しなければなりません。実際にどんな間違いが多いのかというと、「ハーネスの締め付け不適正」「ハーネスの高さ調節間違い」「ハーネスのよじれ・ねじれ」の3点で原因の95%以上を占めています。正しくハーネスを締めるには、まず肩ベルトの高さをしっかり合わせます。後ろ向き装着のチャイルドシートの場合は、子供の肩と同じ高さ、または肩より少し「下」に。前向き装着の場合には、肩と同じ高さ、または肩より少し「上」が適切。身長や体重の成長によってこまめに変えてあげることが大切です。
そして、ハーネスのよじれ・ねじれに注意し、しっかり締めます。この時、あんまりぎゅっと締めると子供が痛がるんじゃないかと、心配して力を入れられない人も多いと思いますが、子供の鎖骨とハーネスの間に指が1本入るくらいの締め付けにしましょう。これがゆるゆるだと、いざというときに衝突の衝撃で子供が外に投げ出されてしまう可能性があります。また、2〜3歳くらいになってくると、ちゃんとハーネスのロックをしたはずなのに、子供がロック解除のやり方を覚えてしまって、いつの間にかハーネスが取れていた、なんてことや、冬場にはコートやジャンパーなどモコモコの服を着せたままハーネスを締めると、中に隙間が空いてしまって子供の柔らかい体がハーネスをすり抜けてしまうことも。これではチャイルドシートの意味がないですね。カー用品店などでは、子供がロックを解除できないようにするグッズなども売っていますので、心配なら活用するといいと思います。
では最後に、チャイルドシートを装着する場所による注意点です。最新のチャイルドシート安全基準では、生後15カ月までは「後ろ向き」に座らせることが義務付けられました(15カ月を過ぎても身長が75cm未満なら引き続き後ろ向き)。助手席はエアバッグがある関係で、チャイルドシートの後ろ向き装着が禁止されていますので、生後15カ月(および身長75cm以上)をすぎるまでは、後部座席に装着してください。ただ、スウェーデン最大の保険会社Folksamが行なった調査によれば、前向き装着のほうが、後ろ向き装着よりも事故の際の死亡・重症率が約5倍も高まるというデータがあるので、できる限り長い間、後ろ向き装着を続けることを強く推奨します。
ということで、チャイルドシートの誤装着、誤使用をなくして、安全で楽しいドライブをしてくださいね。