上から襲われるより下から足もとをすくわれたほうが怖い!?
あくまで体感だが、さまざまなクルマに乗っている経験上、順位を付けるとこのようなものになる。
1位 スーパーカー
車高が低すぎて見えないのか、気づかないクルマもいるが、気づきさえすれば、争うように譲ってもらえる。それはまさにモーゼ感覚! 急いでなくても、急がないと許してもらえない雰囲気すらアリ。
2位 スポーツカー
速そうなクルマは、とりあえず譲ってもらえるが、全幅が狭いと弱い(空冷ポルシェを除く)。
3位 メルセデスやBMW
アウトバーン伝説いまだ強し。
上位はこんな感じで、オラオラミニバンのオラオラ顔は、高速道路上ではほとんど効きを感じない。いかつい顔のSUVも同様で、車高の高いクルマは、基本的にあまり譲ってもらえない印象だ。
その理由は、前述のように「意地でも譲るまじ!」という意識もあるだろうが、自分自身の感覚を振り返ると、人間の本能による部分が大きいのではないだろうか。
人間は基本的に、背が高いものよりも、低いものを恐れる。それは、「上から襲われるより、下から足もとをすくわれたほうが怖い」という感覚だ。
原人時代、人類の敵はヘビと猛獣だった。どっちも低い姿勢で人間を襲ってくる。とくに「天敵」と言われたのはサーベルタイガーで、人類はサーベルタイガーの格好の獲物だった(その後、集団戦法を編み出した人類によって絶滅)。
私はフェラーリやランボルギーニを乗り継ぐ者だが、ふだん高速道路を走っていて背後にスーパーカーが迫って来たら、秒速で車線を譲る。あの低くてとんがった物体が、自分に刺さりそうで怖いのだ。それはもう思考以前の、条件反射的な反応である。
逆にミニバンは、どんなに顔がオラオラしていても、あまり恐怖は感じない。
原始時代以来、ゾウのような大型動物が人間を襲うことはあまりなかった。たとえ襲ってきてもあんまり動きが速くないし、デカくて目立つので、逃げるのは比較的たやすかったはずだ。
というわけで、現在でも、高速道路で車線を譲ってもらいたかったら、「速そうなクルマ」を選ぶのが早道だ。