この記事をまとめると
■個性的すぎるが故に不便な一面を持っているクルマを紹介
■走ることに特化しすぎているが故に普段使いが難しいモデルも多い
■不便な面も愛せればカーライフのいい相棒になってくれるはずだ
楽しいクルマは不自由さもセットでついてくる
どうせ買うなら、本当に気に入ったクルマを買いたい。
そう考える人が近年、じわじわと増えているようです。移動のための道具として割り切るならば、わざわざ高い税金や保険代、駐車場代を支払って所有しなくても、カーシェアやレンタカーで十分。だけど、人生を豊かにしてくれるような、心から「欲しい」「楽しい」と思えるクルマになら、お金を払う価値がある。という考えなのだそうです。
それならばいっそのこと、周囲の人が驚くくらいの、超個性的なクルマに乗ってみるのはいかがでしょうか? 気を遣うことや面倒なこともたくさんありそうだけど、根強いファンがいるからには、とてつもない魅力があるはずのクルマたち。その真実をご紹介したいと思います。
まず1台目は、すでに本国では次期モデルが発売されていて、日本にももうすぐやってくると言われている、ルノー・カングー。
現行モデルの新車はすでに販売終了しているため、がぜん活気付いているのが中古車市場。状態のいい個体は高値がついているほど、人気は依然として根強いのだそう。そんなカングーは、もともと日本ではかなり希少な両側スライドドアを持つ5人乗りの輸入ミニバンとして、そのフランスらしいエスプリ香るオシャレさが、高い審美眼を持つ人たちに支持されて広がっていったモデルです。
本国では郵便配達車をはじめとする「働くクルマ」としても活躍しているだけあって、華美な装備はついていないけれど、だからこそ乗る人のセンスやアイディア次第で、どんなニーズにも合うという懐の深さがあることも、人気の秘密でしょう。
たとえば、エンジンはいまだにキーをさしてまわして始動させるタイプ。スライドドアには、電動開閉機能はついていません。しかも、開ける時も閉める時もちょっと重めで、「エイヤッ」と引っ張ってバンと閉まる感じです。今時は軽自動車にも、キーをポケットに入れて近づくだけで自動でスライドドアが開く機能なんてのも登場しているというのに、このギャップにはビックリする人も多いかも。
ドリンクホルダーには600ミリリットルのペットボトルなんて入らないし、気の利いたスーパーUVカットガラスやナノイーが出るエアコンなんてのもナシ。だけど、広くて気持ちのいい空間や、天井にたっぷりの収納スペース、スクエアでフラットな荷室があります。
バックドアは真ん中から左右に開く観音開きタイプで、180度開いて固定することもできるので、一時期流行したフリーマーケットなどのお店を出すのにもぴったりでした。手作りのトリコロールのクッションや、シートカバーなんかでリビングみたいにくつろげる空間にしているユーザーもいて、思い思いにカングーを自分色に染めていくのがとても楽しそうな印象です。
2台目は、軽自動車だけど本格2シーターオープンスポーツカーである、ダイハツ・コペン。今年で誕生から20周年を迎えたとのことで設定された、1000台限定のスペシャルモデルが早速完売したニュースも記憶に新しい1台ですね。
初代は丸目のヘッドライトが特徴的なデザインのみでしたが、現行モデルは外板パネルが付け替えできるようになっており、セロ、エクスプレイ、ローブという3つの異なるキャラクターのデザインに「着せ替え」できるようになっているのが大きな特徴。
そのほか、トヨタが徹底的に走りにこだわったGRコペンもラインアップしています。男女ともに惹きつけられる理由はその小ささ。男性からすると、小さいのに各部が本格的な作りにこだわっていることから、「まるで1分の1のプラモデルみたいだ」と瞳を輝かせ、女性からすると、大きなスポーツカーは自分には持て余しそうだけど、「コペンなら自分でも乗れるかも」と親近感がわくというのです。
お天気のいい日に、屋根を開けてドライブするだけで、日頃のストレスも吹き飛ぶ! という豊かな時間をくれるコペン。ただ、小ささゆえに困ること、気になることもあるのは事実です。たとえばふたりでドライブしようとすると、室内にはバッグを置くスペースがまったくないので、助手席の人がふたり分のバッグを膝の上に抱えるか、トランクに収納することになります。
でも、屋根を閉めている時にはスーツケースくらいは入りますが、屋根を開けるとトランクが塞がり、バックパックくらいしか入らなくなるので、ここが歯がゆいところ。ゴルフバッグもちょっと積むのは難しいので、遠出をしたいけど荷物が……となるのです。
また、音や剛性感など走行感覚はとてもよく、スポーティな走りを楽しめるコペンですが、パワーやトルク、速度は軽自動車の規制内で設定されていますので、やはりスーパーカーのような怒涛の加速、突き抜けるような吹き上がりなどを期待するのは無理があるというもの。リミッターも140km/hとなっています。