メンテナンス面での大穴的なスーパーカーはF40!
前出2車種に比べると、ポルシェ959はほんの少しだけどマシ。いろいろ高い理由についてバイザッハの頭脳集団が理屈をつけているので、素人の反論など鼻で笑われてしまいます。たとえば、タイヤ交換ひとつとってもダンロップの専用ランフラットタイヤで、しかも空気圧センサーはタイヤと一緒に交換がマスト! 当時価格で4本交換すると300万円弱だったかな。もっとも、300km/h巡行マシンという触れ込みですから、これくらいは致し方ないかと。一方、セコい話ですがタイヤが減らないように走らないで放っておくと4WDシステムのポンプ固着とか、マグネシウムのカムカバーが電蝕でイカれちゃうとかこれはこれでコストがかかります。頭脳の筆頭、ボット教授いわく「なるべく長く乗り続けること」が959を完調に保つ秘訣なのだそうです。
ちなみに、筆者が中古底値の959を手に入れようとした際、排気熱で変色したリヤバンパーの再ペイントをディーラーで見積もったところ「複合素材なので現状の塗装を剥離すること、またその上からの塗装はおすすめできない」として、解決策は「本社から塗装済みのパーツ取り寄せ」とされ、見積もりはおよそ400万円でした。これを説いてくれたのは国内でただひとり本社研修を受けた959マイスターで「高いのは仕方ないですよ。3600万円というのはそういうパーツを積み重ねた値段なんですから」と慰めの言葉もいただきましたっけ。
さて、最後になりますが、メンテナンス面での大穴的なスーパーカーが、かのF40だといったら驚かれるのではないでしょうか。実際、搭載しているエンジンはフェラーリお得意のV8だし、圧縮比下げ気味のツインターボで、エンジンルームも走っていれば盛大にフレッシュエアが出入りするのでいろいろ不都合が発生しづらいのです。初期モデルであれば電制デバイスもほとんどないし、959みたいにリアルタイム空気圧センサーなんて気が利いたハイテクもありゃしません。つまりは原始的というかシンプルなつくりが幸いして、距離を重ねたユーザーでもオルタネータがパンクした、とかヒューズ溶けたくらいなんだそうです。オイル交換やローター&パッド交換だって、リヤフードがあれだけガバっと開けば、どんなヘボメカニックでもどうにかなるでしょう。
とにかく、皆さまはブランド戦略によるボッたくりなどには引っ掛かりませんよう、くれぐれもご注意くださいませ。