この記事をまとめると
■スーパーカーは車体価格だけでなく、メンテナンス代も高くつく
■ちょっとしたクルマが買えるほどの費用がかかることも
■数台のクルマを例に挙げて事情を解説する
ちょっとしたクルマが買えるほどの費用がかかることも
クルマのオイル交換をして請求書が200万円オーバーだったりしたら、誰しも目を疑うか笑い出しちゃうかもしれません。しかしながら、スーパーカーの世界、正確に言えばブガッティ・シロンやヴェイロンあたりでは「普通」だとスルーされるのだそうです。ただし、作業風景の動画を見ると、シャシーボトムの整流板を外すことに始まり、ピエヒ博士の肝いりW型16気筒エンジンにある16個ものドレンプラグを抜くなど、たしかに手間ひまはかかりそう。
とはいえ、仮に時間工賃5000円(これも破格だけど)とすると、ふたりで200時間くらい働く計算になるわけで、前述の作業内容に対してはかかりすぎている気がしてなりません。それでも「いやいや、スーパーカーゆえの養生だの予防的な部品交換もあるだろうが」などと訳知り顔でのたまう方もいることでしょう。
なるほど、ブガッティクラスになれば専用積載車や専用運搬スタッフもいるかもしれません。無事ファクトリーに着いたらば、車体全体を包むかのように養生フィルムだって用意することでしょう。なにしろ、ささいなキズでもつけようものなら、複合素材マシマシのボディパーツを丸ごと交換という目を覆わんばかりの始末になりかねませんからね。また、ドレンプラグにOリングだとか使っているとしたら、メーカー指定の「高耐久性素材」とかなんとか自慢げに見せられたりするのですよ。え? オイルフィルターですって? もちろんフォルクスワーゲンのマークでなく、厳かなブガッティ印のついた箱から取り出されるに違いありません。
それでも「納得しがたい」「超絶ありえない」と思われるのもごもっとも。やっぱりブガッティのブランド力でもって「ボラれている」としか考えられませんよね。そこへいくと、メルセデス・ベンツとマクラーレンが共同制作したメルセデス・ベンツSLRマクラーレンのリヤブレーキ交換で5万8000ドル(≒740万円)というのはいくらか、といっても毛先ほどわずかな説得力があるかもしれません。
なにしろディスクローターはカーボンを通り越してカーボンセラミックの超大径モノ。最近ではオプション設定しているスポーツカーも少なくありませんが、軒並み100万円以上しています。大量生産していないものだけに、その価格はちょっとしたクルマが買えるくらいだとしても納得です。もちろん、ローターがローターならパッドもいいお値段なことは言うまでもないでしょう。2000とか3000kmくらい、いやサーキットでも走ろうものなら、一回ごとに20万とか30万がすり減っていくわけです。せっかくエアブレーキつけてんだから、パッドやローター要らないくらいの仕事したらどうなんだ! そんな、オーナーの嘆きが聞こえてくるようです。