この記事をまとめると
■先代ステップワゴンの特徴のひとつに「わくわくゲート」があった
■しかし新型には採用されなかった
■その理由を開発者に聞いた
「わくわくゲート」の採用に関しては議論が繰り広げられた
オラオラ系のデザインが多い新型車の中にあって、希少な「癒し系」と好評の声が多く聞こえる、ホンダの新型ステップワゴン。とくに、開発テーマである安心と自由をそのまま具現化したような、リビングのようにくつろげる空間が特徴となっている「AIR」は、ほかにはない独自路線をゆくミニバンとなっています。
そんな新型ステップワゴンですが、先代が採用していた「わくわくゲート」が受け継がれなかったことにお気づきの人も多いと思います。この「わくわくゲート」とは、大きく上下に開くバックゲートをより使いやすくするために、面積の3分の1程度の大きさのサブドアをつけ、通常のドアのように横にも開けることができるようにした、ホンダ独自の画期的な装備でした。
セレナのように、上下二分割で上半分だけ開閉できるようになっているミニバンもあり、狭い場所でちょこっとだけ荷物を出し入れしたいな、という時に便利なのですが、やはり大きな荷物や重い荷物の出し入れは困難。その点、この「わくわくゲート」なら、ベビーカーなどのように背の高い荷物まで出し入れしやすいのはもちろん、3列目を床下格納させることによって、人の乗り降りも可能としたのが特徴です。左右の壁際にギリギリで駐車し、スライドドアからの乗り降りができない場合に、この「わくわくゲート」から乗り降りしたり、2列目シートにチャイルドシートが装着されていて、3列目シートへのアクセスがしにくい場合も、この「わくわくゲート」があれば解決でした。
そんな、一見するとメリットしかないように思えた「わくわくゲート」なのに、なぜ新型には採用されなかったのでしょうか。
その理由を開発者に率直に尋ねてみると、変わりつつある昨今の販売現場や、性能に関わる問題など、いろいろな事情が見えてきました。当然のことながら、新型の開発にあたっては、「わくわくゲート」を残すのか、やめるのか、相当な議論が繰り広げられたと言います。それは、実際に先代のステップワゴンのユーザーからは、「とても便利に使っている」「もう手放せない」といった喜びの声が大多数だったという、確固たる事実があるからです。