「自宅で充電できないと所有できない」「走りがつまらない」! EVに乗ったことがない人にありがちな勘違い5つ (2/2ページ)

EVならではの「走りの楽しさ」もある

 3つめは、走っていて楽しくないのではないか、というのもじつは勘違い。確かにモーターはエンジンのように音もしないし、振動も少ないし、オイルの匂いもしないし、そういった五感で味わうような楽しさは減っているかもしれません。でも、エンジンであっても多くの人が期待するのは、背中を押されるようなパワフルさや、ワクワクするような加速フィールではないでしょうか。モーターはそれを感じさせるのはとても得意で、コンパクトカーであってもアクセルを踏んだ瞬間からスーパーカーのような爆発的な加速フィールを出すことだって可能です。それがいつでも、何度でも味わえるのがEVの大きな魅力であり、楽しさにつながるところです。

 4つめは、新車のときのバッテリー性能がずっと維持されると思っているかもしれませんが、それも残念ながら誤解です。スマートフォンなどをずっと使っていてバッテリーの減りが早くなったな、と感じることも多いと思いますが、同じようにEVのバッテリーも劣化します。とくに、高速走行と急速充電を頻繁に繰り返すような使い方をすると、劣化が激しくなると言われています。また、真夏などバッテリーの温度が高温になっている時に急速充電をするのも、あまりよくないと言われています。

 ただ最近の新型EVではそうしたバッテリーの劣化に関する研究が進み、技術も蓄積されてきて、たとえば日産サクラ、三菱ekクロスEVでは、そうした劣化しやすいと言われる使い方をしても、バッテリー性能を維持できるような技術が投入されているとのこと。でもまだまだ、なるべく長持ちさせるために扱い方には気を使ったほうがいいのは間違いないでしょう。

 5つ目は、コストのメリットとして注目すべきは、ガソリン代より電気代のほうが安いところでしょ、と思っている人が多いと思いますが、じつはもっとメリットを感じるのは車検や点検の費用かもしれません。確かに、ガソリン価格が高騰している今、月に500km走る人のコストを比べると、ガソリン車で燃費が18km/Lのクルマならガソリン価格が168円/リットルだと約4666円かかります。EVなら、たとえばBMW iXで50kWの出力の急速充電器で30分充電すると、走行距離120km分程度になります。なのでだいたい126分で500km分とすると、急速充電器のビジター利用料金が16.5円/分で、料金は2079円ということになります。ガソリンの半額以下ですね。

 これが積もり積もればコスト面でのメリットも大きいですが、車検や点検ではオイル交換やラジエーターのクーラント、エアクリーナーなどといった消耗部品がすべていらないのがEV。交換するのはワイパーブレードやエアコンフィルターくらいのものとなり、1回で数万円のコストダウンが可能となるのです。これが何年も経つと、ガソリン車ではタイミングベルト交換など高額な修理代がかかることもありますから、EVは車検や点検での負担が減るのも魅力の1つと言えそうです。

 ということで、なかなかカタログには書いていない、EVのリアル。メリットもデメリットもありましたが、いかがでしたでしょうか。航続距離を見極めてフレキシブルに賢く走ることや、バッテリーの劣化を遅らせる努力をすることが、EVと上手に付き合うカギとなりそうですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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