この記事をまとめると
■国産車でデザインが優れていたがセールスに失敗したモデルを紹介
■欧州車メーカーのデザイナーなどが手掛けていたが、市場との温度感にズレがあった
■いま見ても古さをまったく感じさせない仕立てが魅力的だった
輸入車と見間違うほど優れたデザインを持った国産車たち
先進的過ぎたか、強い個性のためか? デザイン的には非常に優れているのに、なぜか販売に結びつかないクルマは決して少なくありません。ここでは、そんな残念な? 経験を持つ日本車5台を振り返ってみたいと思います。
●尻下がりデザインは売れない
まず最初は日産の「レパード Jフェリー」。好景気により、Lクラスにも「アリスト」「センティア」といった新規参入が増えつつあった1992年、「エレガント」「丁寧」「良いもの」をキーワードに企画されたのがレパード Jフェリーです。
デザインは「日本人の繊細な感性に応えるスタイル」をコンセプトに、同社の北米スタジオであるNDIで開発。そこで打ち出されたのが「アドバンスド・アーチ」という独特の造形テーマ。
ボディ全体を虚飾のない大きな面で構成し、グリルやランプなどを最小限の表現に抑えたスタイルは極めてエレガントでしたが、2代目「ブルーバード」から続く「尻下がりはカッコ悪い」という日本人に染み着いた感性のためか、販売はサッパリでした。
しかし、日本でこれだけエレガントなクルマが生まれたのは奇跡的でもあります。
●カッコはいいけど需要がない?
2台目はホンダ「アコード・エアロデッキ」です。「クイント・インテグラ」「プレリュード」に続くリトラクタブルライト採用のボディは、先代比マイナス45mmを実現した「スーパースラントノーズ」を筆頭に、極めてスマートなプロポーションを実現しました。
超ロングルーフのエアロデッキは、当時ヒットした「ワンダーシビック」の上級版と言え、リヤに向けて引き上げたベルトラインによる軽快感や、ルーフまで開口する切り落とされたリヤハッチ、ツートーンのボディカラーなど極めて魅力的なスタイルでした。
ただ、「大きくて長い3ドア」の需要はほとんどないに等しく、不人気車のリスト入りに。もちろん、いまだにこのスタイルには旧さのカケラもありません。