この記事をまとめると
■自分のクルマを海外に持っていって走らせたいときにはどうしたらいいのかを解説
■クルマの通関書類のひとつに自動車カルネがある
■カルネには利用できる国や地域があり、そのほかの国への一時輸出入は各国大使館へ要問い合わせ
自動車の一時輸出入は関税への対応が重要
自分のクルマを海外に持っていきたい。そんなことを考える人もいるだろう。
たとえば、アメリカのルート66をアルファードで横断してみたいとか、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェ(北コース)でタイムアタックしてみたいとか、アフリカの大地をランクルで冒険してみたいとか。
こうした願望は、けっしてその地に永住するとか、長期滞在するというのではなく、愛車とともに旅がしてみたいといった感覚だ。「愛車を海外に持って行って走らせてみたい」と考えてみることは、実現するかどうかは別として、妄想だけでもけっこう楽しいものだ。
では、実際にそうしたことを行おうとすると、何が必要なのか? もっとも重要なのは「カルネ」だ。「カルネ」という言葉を、成田空港、羽田空港、関西国際空港で出国しようとした時などで、聞いたことがある人もいるだろう。
そもそも、カルネはフランス語の手帳を意味する。日本商事仲裁協会によると、カルネとは「一時輸出入する物品の通関に利用できる免税のための通関書類」と説明している。
カルネは、「国際条約(ATA条約)に基づき発給」され、「輸入税等(VAT:付加価値税含む)や日本帰国時の消費税も免税」される仕組みだ。カルネは国によっては用途が認められないことがあるとか、カルネ発給日から1年以内に日本に物品を持ち帰えなければならないとかの条件がある。
ATA条約は1973年に発給が始まっており、また日本と台湾の間では民間協定によって2001年からSCCカルネが発給されている。
そのうえで、自動車に関しては、「自動車カルネ」が存在する。条件としては、日本で車両が登録されていて車検が残っていて、カルネ名義人自身が渡航して、1カ国の滞在が1年以上滞在せず車両を日本に戻すこと等、となっている。
JAF(日本自動車連盟)によると、カルネを利用できる国や地域は、アフリカではエジプトやケニアなど14か国。アジアと中東ではインド、イラク、シンガポールなど19カ国、オセアニアはオーストラリアとニュージーランド、そして南北アメリカではアルゼンチンやペルーなど9カ国になっている。それ以外については、各国大使館へ問い合わせが必要だ。
また、欧州では一時輸入でカルネが必要とされていないとのことだが、詳細の確認が必要だ。一般的に、自動車カルネの発給には申請から3週間程度が必要という。また、国や地域によっては、国際ナンバープレートが必要な場合がある。
いずれにしても、愛車を海外に持って行って走らせるためには、関税への対応をしっかり行うことが重要だ。また、燃料の質や、現地でのメインテナンスについても、事前に可能な限り調べることが大事であることは言うまでもない。