日本車の脅威の出現はユーザーにとってメリット
その当時、筆者はアメリカでレンタカーでの移動や、メーカーの広報車による各種取材で、韓国車を定期的に運転する生活をしていたが、フルモデルチェンジはもとより、年次改良によっても、韓国車の性能がどんどん向上していったことを実感した。もっとも顕著だったのは、NVH(音・振動・路面からの突き上げ)とハンドリングの大幅なカイゼンだった。
さらに、そうした技術向上と並行して、韓国メーカーは強気のマーケティング戦略に打って出た。それが、アメ車ならピックアップトラックなどのハードユースな商用車に適用されるような、パワートレインなど基本領域での10年・10万マイル(16万km)といった長期補償である。
こうして、アメリカでユーザーの信頼を徐々に得ていった韓国車は、欧州、中国、インドなどでも販売を確実に増やしていった。日本メーカーとしても当然、さらなる品質改善を進めることになった。
韓国車だけではなく、日系メーカーとの合弁事業によって基礎体力をつけてきた中国地場メーカーの量産車も、日本車にとって脅威となってきた。
いずれにしても、ユーザーから見れば、日本車が高い品質という面で世界をリードし、それを追うように多くのメーカーのクルマの品質が上がることは、ユーザーにとって直接的なメリットであり、喜ばしいことだと思う。