クラッチを「労る」ことで長持ちさせられる
ただ、このクラッチの寿命は乗り手=ドライバーによって大きく違う。
同じ車種でも、2~3万kmでクラッチが消耗しきってしまう人もいれば、10万km持たせる人だっている。
半クラッチの多用が、一番クラッチの寿命を縮めるが、クラッチを操作しないときにも、クラッチペダルの上に左足を乗せておく癖のある人は、いつの間にか半クラ状態になり、クラッチを摩耗させているケースが多い。
そして、クラッチはしっかり切って、しっかりつなぐのが基本だが、ドラポジが悪い人はクラッチがきちんと切れていないといったことも考えられる。
また、スポーツ走行でクラッチのつなぎ方が乱暴な人はクラッチを傷めやすいし、4WDやRR、MRなど、パワーがあってもホイールスピンしにくいクルマほど、クラッチが滑りやすい傾向がある。
こうした場合、クラッチそのものを圧着力の強い、強化クラッチに交換する方法もあるが、クラッチは、クラッチが滑ることでエンジンや駆動系を守る、ヒューズとしての役割も与えられているので、いたずらに強化すると他の部分に過負荷がかかり、かえって高くつくことも!(先述の空冷時代のRRのポルシェなどは、まさにクラッチでオーバーロードを防ぐ発想)
そういう意味では、クラッチを長持ちさせたければ、半クラッチや、高回転でのクラッチミートを控えて、クラッチを労ってあげるのが肝要。
そして、クラッチディスクの摩耗具合は、オペレーションシリンダーのレバーの位置で、ある程度判断することができるので、クラッチディスクの残量が減ってきたら早めに交換するのが望ましい。
なお、MT車に限らず、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)やAT車でも、クラッチの摩耗はあるので、2ペダル車でもいずれクラッチの交換、オーバーホールは必要になることも覚えておこう。