この記事をまとめると
■シトロエンのデザインの奥深さを考察
■今でも世界中でデザインが評価されているクルマが多い
■カーデザイン界の巨匠との関わりが深いことも理由に挙げられる
シトロエンに個性的なデザインが溢れる秘密
シトロエンの新型「C4」のデザインが好評です。同社の新世代デザインへの移行であり、かつての「GS」をオマージュしたことも大きな話題になっています。
こうして「個性的なデザイン」と言えばすぐにシトロエンの名前が挙がりますが、その地位はどうやって築かれたのか、今回はその経緯をあらためて振り返ってみましょう。
●会社の窮地を救った天才的デザイナーたち
最初に結論的なことを言ってしまうと、シトロエンが個性的なデザインを送り続けて来たのは、1919年の会社設立以降、要所要所で天才的なデザイナーとの出会いがあったからと言えます。
まず、戦前の巨額投資の失敗による最初の経営難の時代、画期的な経済車、農民車である「2CV」を手掛けたフラミニオ・ベルトーニがそのひとりです。
2CVは、もはや自動車史上の傑作とされますが、トラクシオン・アヴァンの採用や徹底した実用性の高さなど、当時としては機能性を最優先しており、じつはデザインはそれほど重要視されなかったという話もあります。
ただ、「こうもり傘に4つのタイヤをつける」というシンプルを極めたコンセプトが、ある種の機能美を実現したと言えるでしょう。
その点で、ベルトーニ本来の力を発揮したのは、1955年発表の「DS」です。空力、流体力学を極めた独創的なスタイルは「宇宙船」とも呼ばれましたが、グリルレスのフロントや張りのあるサイド面、切り落とされたリヤパネルなど、どこを見てもモダンであり、まったく旧さを感じさせません。
1950年代時点で21世紀を見越したようなスタイルを実現してしまったことが、のちのシトロエンデザインを決定付けたのです。