究極のフェラーリともいうべきその名は「ラ フェラーリ」! 名前と共に世間を驚かせた衝撃の中身とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2013年にフェラーリが最新スペチアーレとして発表したのが「ラ フェラーリ」だ

■6.3リッターV12にモーターを組み合わせたフェラーリ・ロードモデル初のハイブリッドカー

■0-100km/h加速は3秒未満、最高速は350km/h以上を達成

その車名はフェラーリの超極秘事項だった

 あのエンツォ・フェラーリの後継となる新型スペチアーレが限定生産されることが、当時のフェラーリ社の会長であるルカ・ディ・モンテゼモロ氏から発表されたのは、2012年初夏のことだった。しかもそれには、フェラーリのロードモデルとしては初となるハイブリッドシステムが搭載されるというのだから、誰もがそのプロジェクトに熱い視線を送ったのは間違いないところだ。

 参考までにそのプロジェクトは「F150」と呼ばれ、さまざまなティーザーフォトとともに、同年9月のパリサロンではカーボンモノコックのみが展示されるという、フェラーリとしては異例ともいえるプロモーションが展開されたのも記憶に新しい。

 F150プロジェクトが進む中で、大きな話題となり始めたのはそのネーミングだった。前作のエンツォはもちろんフェラーリの創業者の名であるから、それ以上のバリューを持つ名前など考えられない。実際にその車名は、フェラーリにとっても極秘事項であり、それを最初に知るには、初公開の舞台である2013年のジュネーブショー、そのフェラーリブースの前に立たなければならなかったのだ。

 モンテゼモロ会長のスピーチで始まったプレゼンテーションで、最初にそのネーミングが発表される瞬間を、誰もが息を飲んで待つ。そして、その第一声とともにブース後方のディスプレイに示されたネーミングは「La Ferrari」。英語に訳せば「The Ferrari」という誰もが想像し得ないものだった。フェラーリの前に定冠詞を掲げたこのネーミングは、確かにこれまでのフェラーリの集大成であり、また唯一無二の存在といえるもの。まさに絶対王者ともいえるそのディテールをここから解説していこう。

 ラ フェラーリのスタイリングは、エンツォまでのそれとは異なり、フラヴィオ・マンゾーニをチーフスタイリストとするフェラーリの自社デザインチームによって行われている。そのスムースな造形からもエアロダイナミクスの優秀さを想像するのは容易だが、フェラーリは、さらに走行状況に応じてそれを最適化するための可変デバイスを採用。フロントのアンダーボディディフューザーとガイドベーン、またリヤのディフューザーとスポイラーがそれだ。これによっていかなる速度域でも理想的なエアロダイナミクスを得ることが可能になった。

 モノコックはパリサロンで発表されたものと同一と想像されるが、こちらも4種類のCFRP素材が使用されている。主要構造体には「T800」、さらに高い強度を必要とするパートにはユニダイレクショナル(単一指向性)の「T800UD」、センターセクションにはF1マシンのノーズコーンにも使用される「T1000」、さらにアンダーボディの構造材やクロスメンバーには、弾性率を考慮して「M46J」が採用されるという具合だ。

 ちなみに、このモノコックは重量ではエンツォ比で20%ほど軽量なスペック。曲げ剛性は22%、捻じり剛性は27%ほど向上している。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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