ドアミラーレスの採用にはリスクがある
横並びの3シーター
世界的に見ても採用例はあまりないものの、話題にはなったし、便利そうだとまで言われたホンダのエディックスや日産のティーノ、フィアットの2代目ムルティプラに採用されていた、前席での横並び3シーター。スーパーカーではタルボマトラ ムレーナというのがあったし、マクラーレンでも採用モデルはある。スーパーカーは別として、登場時のウリとしては横に3人並んでワイワイできる的な、非常に楽しそうなことをアピールしていた。乗ってみてもほかにはない感覚で楽しいのだが、結局は広まらない。
普及しない理由としては、3人で乗るシチュエーションばかりではないということがまずある。もちろん3人家族であれば有効活用できるが、ひとりで乗ることも多く、そうなるとなんか半端。また、デートなどではふたりで乗ることも多いが、そうなると真ん中のシートが邪魔となる。真ん中のシートは車幅との関係で小さいので、これまた中途半端になるというのが普及しない理由だろう。それなら大ぶりのシートで2人がけで十分だし、横3人並びにこだわるなら“1本モノ”となる、ベンチシートのほうがいい。ただ残念ながら昔あった乗用車で横3人がけのベンチシートは、今は法規の関係で難しい。
ドアミラーレス
ドアミラーレスとは鏡でサイド、後方を映すのではなく、カメラを利用することでドアミラーをなくすというもの。モーターショーのコンセプトカーではよく見かけて、待望の市販車への採用となったのが2018年に登場したレクサスのESだった。ただ、見てガッカリだったのは完全なレスではなく、棒状のステーが飛び出ていたこと。名称もデジタルアウターミラーで、ちょっと残念だが、将来のカーデザインにも影響を与えそうだし、カメラなので多機能化が期待できると思っていたが、そのあとが続かなかった。ようやく次に採用されたのはホンダeで、機能やスタイルは同じ。
普及しない理由を考えみると、まずインパネの両サイドにモニターを付けなくてはならないということがあるだろう。そうなると見やすさや画質などを検討する必要がある。もちろんコストもアップだ。画質についてはデジタルバックミラーの違和感がようやくなくなってきたことを考えると、けっこう時間はかかると思われる。あとはやはりデザインで、飛び出ている感があるので、これをどう処理するか。
そもそもユーザー側の違和感がかなりあるので、慣れてくれるのだろうかという心情的な部分も関係してくる。つまり積極的に採用していくにはリスクがあると言っていいだろう。そうなると、ホンダeのように先進性をウリにして、空力も高いレベルで追求するようなスペシャルモデルでの採用となってしまうのは仕方がないとも言える。