この記事をまとめると
■クルマの装備は日々、進化している
■普及するものもあれば、そうでないものもある
■登場時に話題になったにもかかわらず、広まらなかった装備を紹介する
観音開きドアは使い勝手がイマイチ
クルマの進化は性能だけでなく、装備についても言えること。使い勝手や便利さのなかで、”使える装備”が登場して話題になり、それが次第に他車、さらには他社へと普及して当たり前のものになっていくというような図式だ。ただし、必ずそうなるとは限らず、話題にはなったものの、その後尻すぼみというケースは多いし、さらに言うと話題にすらならなかったものも多数。一般的な商品、芸能界でも同じ図式だったりして、厳しい世界だ。今回はそのなかで、話題にはなったが、結局あまり浸透していない装備について考えてみたい。
観音開き
初代クラウンから始まって、それをリスペクトしたオリジン。ホンダのエレメントも話題になったし、最近ではRX-8やMX-30、FJクルーザーなども採用していた。なくなりはしないけどこれ以上は広がらない感がある装備だ。その理由としてあるのはまず、後ろのドアだけを開けるのが面倒なこと。リヤドアは逆ヒンジ、つまり前開きになるので、安全性のためにフロントドアを開けなければならない。たとえば後席に置いた荷物をサッと取り出したい時なども、フロントドアを開けて、さらにリヤドアを開けるということになる。
さらに、最近のモデルはとくにそうなのだが、後席用のドアを簡易的にするために採用しているというのもあって、正直に言うと乗降性があまりよろしくない。たとえばマツダは、観音開きをクーペらしいスタイリッシュな見た目を実現するために採用していることもあり、実車で見てもリヤドアはかなり小さい。そして実際に乗り降りすると、2ドアクーペの後席に前席から潜り込むように乗るよりはラクではあるけど、劇的にラクというほどでもない。つまり乗降性への効果は微妙なのだ。本来の持ち味である、Bピラーレスのメリットも最近の採用モデルでは薄いのも事実。
軽のワゴンでは観音開きはさすがにないものの、実質的な観音開きとも言えるBピラーレスはけっこうあって、人気だし、使い勝手もいい。要は開口部のサイズの問題だろうか。普通車、とくにセダンやクーペなどで採用するとなると、開口部がどうしても小さくなってしまうのがメリットを活かしきれないことに繋がると言っていい。