不正軽油の使用による異常な燃焼が大気汚染を誘発する
不正軽油を使うと、灯油や重油は軽油と比べ燃焼条件が異なるので、排出ガスから白煙や黒煙が出やすい。
現在のディーゼル排出ガス規制下では、かつてのような黒煙など目に見える煙が出ることはまずない。白煙だろうが黒煙だろうが、目に見える煙が排出されることはあり得ない。したがって、そうした目に見える煙を出すディーゼル車を運転している人自身、不正軽油であることを知って使っている可能性は高い。
不正軽油の使用は、いまにはじまったことではない。不景気になると、経費を節減しようと不正な燃料を販売したり、利用したりということが繰り返されてきた。しかし、それは脱税という犯罪行為であるうえ、大気汚染という大きな括りだけでなく、そのディーゼル車の後ろを走るクルマは、外気導入の空調の状態では、有害な排出ガスを乗員が直接吸ってしまうことにもなる。
不正軽油が使われる背景には、物流や移動でディーゼル車を利用する際の、燃料代に対する交通費を適正に支給されない、あるいは荷主に請求できないなどといった社会的課題も考えられる。世の中全般に、安いほどよいといった風潮が浸透しており、そうした意識が適正価格での経済の在り方を失わせているといえなくもない。
法外に高い価格設定は打破されるべきであっても、無暗な安値の追求にも弊害は生まれる。適正価格での売買で良品を使うという感覚を、消費者も暮らしのなかで持つことが不正撲滅の第一歩ではないだろうか。