厚底の靴だと反応時間や停止距離が3〜8%長くなる
では、どんな靴が運転に適しているのでしょうか。もっとも身近で手に入りやすく、運転しやすい靴として浮かぶのは、スニーカーかもしれません。もちろん、スニーカーは運転するときに理想的ではありますが、注意したいのは近年流行している厚底のスニーカー。というのは、交通事故総合分析センターで厚底の靴を使った実験を行なっていて、厚底の靴を履いた場合にはペダル操作や障害物の回避の際に、反応時間や停止距離が3〜8%も長くなることがわかったのです。厚底のスニーカーだけでなく、厚底ブーツや厚底サンダルも同様に、運転には適さないと言えるでしょう。
運転に適した靴で本当に理想的なのは、やっぱりドライビングシューズです。ファッション性のあるものから、サーキットで使用する本格的なものまで幅広くありますが、どれも共通しているのは、まずかかとの部分が強化されていて、しっかりとフロアに固定してペダル操作ができるようになっていること。そして、ソール部分は厚すぎず薄すぎず、足の微妙な動きを邪魔することのないような柔軟性を損なわない程度の厚さと、緊急ブレーキのように強く正確にペダルを踏む際にも、ぐにゃりとならずしっかり踏める厚さを備えています。また、靴の中で足が泳がないよう、適度なフィット感のあるソール幅というのも大切。足の形状は人ぞれぞれなので、どのドライビングシューズがもっともいいかは、その人の足に合うものということになります。スリッポンタイプもあれば、紐で結ぶタイプ、マジックテープで止めるタイプなど、種類も豊富。もし、ドライビングシューズではない靴でも、なるべくかかとがしっかりしていて、ソールの柔軟性と強度、足へのフィット感をチェックして選んでみると、運転しやすい靴が選べるのではないかと思います。
そして最後に、近年はペダルの踏み間違いなど誤操作による事故の報道が増えて注目されていますが、それが高齢ドライバーだけの問題だと思うのは大きな間違いです。年代別ペダル踏み間違い事故発生件数(2015年警察庁データ)では、もっとも多い年代が16歳〜24歳の1080件。これは75歳以上の1032件を上回る結果となっているのです。踏み間違いは決して高齢者に多いわけではないので、若い人たちもぜひ注意してくださいね。そしてぜひ、踏み間違いの原因の一つとなっている靴も、オシャレを楽しみつつ、運転する際にはちゃんと運転に適した靴に履き替えて運転してほしいと思います。