この記事をまとめると
■車体の各所に迫り出した突起状のパーツを最近よく目にする
■ルーフ降誕のフィンはアンテナで空理機性能にはあまり寄与していない
■ボディ各所に設けられたフィンは不規則になった空気の流れを整える効果がある
シャークフィンのアンテナは空力よりも見た目重視なパーツ?
高速で走るレーシングカーやスポーツカーにとって、空力性能がパフォーマンスに大きく影響を及ぼすことは広く知られているだろう。空力性能というと、以前はCD値(空気抵抗係数)がよく語られ、カタログを賑わしたものだ。CD値が小さければ空気抵抗が少ないように受け取られ、燃費や最高速に寄与するというイメージで取り上げられたことが多い。
しかし、実際には空気抵抗値はCD値だけでは決まらず、前面投影面積Aとの積「CD×A」で論じなければ意味がない。また、メーカー毎に計測方法や機器が異なり、カタログ値の再現が実証されにくいことなどから、CD値が前面で語られることは少なくなった。メーカー、車種によっては機密扱いとして公開されていないこともある。
F1マシンのように、大きなダウンフォースを発揮させて車体を地面に押し付けてタイヤグリップを引き出すのは比較的簡単な理論で、現代の市販車のように、燃費や電費向上のための空気抵抗値低減と操縦安定性視点からの空力安定性を引き出して両立するのは難しい技術だといえる。
そこで、最近よく目にするのが車体の各所に「チョビ角」のように迫り出した突起状のパーツだ。
ルーフの後端にシャークフィン形状に突き出ているのはアンテナで、多くのクルマで採用している。電動化が進み、通信機能が多く求められるようになり、最新のBEVモデルである日産アリアなどは2本のシャークフィンアンテナを取り付けている。
シャークフィンアンテナの機能は主に通信機能なのでクルマの空力性能に大きく寄与するわけではないともいえる。