EVには必要不可欠の技術となる可能性もある
インホイールモーターは、車輪のホイール内側に金属製のモーターを取り付けるため、バネ下重量が重くなる弊害があるといわれていた。しかし、今日、20インチ以上の超偏平タイヤを装着するクルマが平然と走っている様子を見れば、バネ下重量が重くても優れた操縦安定性や乗り心地に仕立てられることがわかる。
もちろん、軽いことに越したことはない。だが、バネ下重量が重くても、それに見合ったサスペンションの仕様にすれば、走行性能は作り込めるはずだ。試作のランサーエボリューションMIEVをテストコースで試乗させてもらったときも、不具合はなかった。
将来的に、EVが当たり前の時代となったとき、たとえば東京オリンピックで選手村の移動に使われたトヨタのe-PalletのようなEVには、インホイールモーターの利用が求められるようになる可能性はある。
そして、左右のモーターの回転方向を逆にすれば、その場で前後の向きを変えることもできるようになる。狭い路地での方向転換が可能になるのだ。
EV社会になれば、道路の利用の仕方や、駐車の仕方なども、最適な姿が創造されることになるのではないか。その意味で、インホイールモーターの可能性は、EV時代には必要不可欠になっていくかもしれない。