発売前のフェアレディZが2台参戦! 富士24hで登場した「Nissan Z Racing Concept」の中身 (2/2ページ)

244号車は今後もスーパー耐久への参戦を継続

 具体的にはロールゲージの装着および軽量化を実施したほか、エンジンの3.0リッターV6ターボ、VR30DDTTも最適化。さらにレース用の6速ミッション+シーケンシャルパドルシフトを採用。サスペンション形式はフロントがダブルウイシュボーン、リヤがマルチリンクとベース車両を踏襲したものの、ダンパーおよびスプリングはレース仕様で、ブレーキも競技用の大型システムに変更されていた。

「カーボンニュートラル燃料についてはスーパーGTでも2023年から使用される可能性があるので、燃料の知見やデータを集める必要があることから230号車に採用しました。今後のZのユーザーさんにモータースポーツを楽しんでもらえるデータを収集したいと思います」と片桐氏は語る。

 こうして注目を集めるなか、富士24時間レースでデビューを果たした2台のNissan Z Racing Conceptだが、気になるCNFモデルについて230号車のステアリングを握る松田は「シャシーもエンジンも基本的に市販ベースですが、十分に楽しいクルマに仕上がっていますし、エンジンもガソリン車とまったく変わらない。言われなければカーボンニュートラル燃料とわからないほどで、タイムも遜色のない状態です。今のクルマもカーボンニュートラル燃料で走れるようになればいいのかなぁ……と思います」とインプレッション。さらに今大会の参戦についても「自動車メーカーがCNF車両でレースに参戦することは大きな一歩だと思います。EVもすごく大事ですけど、僕を含めてエンジンサウンドが好きな人のためにもCNF車両の開発を続けていってもらいたい」と想いを語る。

 まさにGT-R、Zなど日産のスポーツカーファンにとって2台のNissan Z Racing Conceptは注目の存在だが、その期待に答えるように予選から好タイムを連発。残念ながらコースアウトを喫した244号車は最下位となったものの、230号車が総合14位/ST-Qクラス2位を獲得した。

 しかし、決勝では予選で出遅れた244号車が安定した走りを披露している。その結果、707周を重ねた244号車がクラス2位に入賞し、Nissan Z Racing Conceptのデビュー戦で表彰台を獲得。一方、予選で好タイムを見せていた230号車はエンジントラブルに祟られて後退したものの、それでもマシン修復後は好タイムを重ねており、粘りの走りにより502周でチェッカー、クラス5位で完走を果たした。

 なお、CNFを使用したNISMOの230号車は今大会のみの参戦となるようだが、ガソリンを使用したMax Racingの244号車は今後もスーパー耐久への参戦を継続する予定となっているだけに、今後もNissan Z Racing Conceptの動向に注目したい。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
趣味
登山
好きな有名人
石田ゆり子

新着情報