持ってるだけでドアの開閉もエンジン始動もできるスマートキー! じゃあキーにある「物理ボタンは要らないじゃん」の疑問に対する答えとは (2/2ページ)

車中泊をする際などもボタンがあると便利

 スマートキーにいまだにボタンがある理由も、まさにそれではないでしょうか。まず1つ目は、クルマから離れた場所でドアロックを操作したい時。たとえば家族みんなで1台のクルマで出かけた際に、スマートキーをお父さんが携帯していたとしましょう。買い物を終えてクルマに戻る段階になったら、元気な子供たちは走って我先にと駐車場へ。でもお父さんは荷物を抱えているので、そんなに早く歩けません。子供たちはせっかく早くクルマに戻っても、お父さんが来るまで乗り込むことができない状況です。こんな時に、急かされるくらいならその場で立ち止まって、キーを出して先にボタン操作でドアロックを解除した方がいいですよね。

 また、マンションの5階からクルマに忘れ物を取りに降りていったのに、キーを忘れてしまった! そんな時もわざわざ取りに戻るよりは、電話して5階からクルマめがけてスマートキーのボタンを操作し、解錠してもらった方が早い場合もあるでしょう。こうした離れた場所からの操作というのは、大昔の物理キーの時代にはできないことでした。でもその後、ドアロックの操作がボタンでできるようになった「リモコンキー」というものが普及し、その便利さを私たちはもう長い間、享受し続けてきています。なのでもう、それができないキーには戻れないということですね。

 そして理由の2つ目として、ドアハンドルなどについているボタンを押すタイプのスマートキーはいいのですが、ドアに近づくだけでドアロックが解除されるタイプのスマートキーが「使いにくい」「不安」と感じる人がまだまだ多いということもあります。確かに、このシステムが出始めた頃は、「本当にロックされたのかな?」と疑問に思い、わざわざスマートキーだけを遠くに置いて、自分だけクルマに戻ってドアがちゃんと施錠されているかどうか、確かめに行ったという話も多く聞きました。また、うっかりしていて同乗者がまだ乗っているのに運転手がキーを持って降りてしまい、施錠されてしまって同乗者が閉じ込められたという事例もあり、このシステムになかなか慣れないという話も聞かれます。

 そんな人たちのために、車両側にはこのシステムをOFFにできる機能がついているクルマもあります。たとえばダイハツの「キーフリーシステム」は、車内で手順に従って操作するとOFFにすることができ、スマートキーのボタンを使って通常のリモコンキーとして使うことができます。自分たちの使い方に合わないと感じたら、あえてそれを使わないという選択ができるようにするために、キーのボタンを残しているのですね。

 さて最後は、車中泊をする人が増えてきましたが、ロングドライブの合間にちょっと車内で仮眠をしたい時などにも、寝ている間の防犯が気になりますよね。スマートキーが車内にあると、基本的に外からはロックがかかりませんが、運転席のドアなどにあるロックボタンを操作すると、中にキーがあっても施錠できるようになっています。でも、後席をリクライニングして眠ったり、荷室をフルフラットにして眠ったりする時に、いちいち運転席のボタンを押しに行くのは面倒ですよね。そんな時も、スマートキーのボタンが役立ちます。枕元に置いたりポケットに入れておけば、眠る直前にロックできて安心ですね。

 ということで、便利なスマートキーになってもボタンがある理由をご紹介しました。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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