クルマとしてではなく、インフラのひとつとして見る人が多い
じゃ、スーパーカーオーナーは、EVをどう見ているのか?
私をはじめとする庶民派オーナーは、EVへの欲望はゼロに近い。なぜならEVは値段が高い。その上遠くまで走って行けない。高くて不便じゃ、あまりにもコスパが悪い。
スーパーカーとEVという組合せば、一見ベストなようでいて、どっちも短距離しか走れないので、結局もう1台足グルマが必要になってしまう。庶民派オーナー的には、スーパーカーと軽自動車の組み合わせがベスト。EVなんてゼイタク品には到底手が出ない。
しかし、富裕層のスーパーカーオーナーは別世界に生きている。EVに対しても興味津々だ。
フェラーリのコレクターとして有名だった松田芳穂氏は、テスラロードスターに試乗した際、「いままで乗ったクルマの中で一番加速がいい」と感激したという。スーパーEVの加速は、静止状態からのスタートならスーパーカーを凌ぐのだから、無視できるはずがない。ポルシェ・タイカンなどのスーパーEVは、間違いなくスーパーカーの仲間である。
たとえ性能がスーパーでも、EVの加速は音や振動がなくて味気ないのでは……という見方もあるが、スーパーカーを何台も持っていれば、1台くらいそういうクルマがあっても全然オッケー。むしろ個性が光る存在になる。
加えて人間は、お金持ちになればなるほど防衛本能が増大する。守るべきものが増えるのだから当然だ。富裕層は大災害でも困らないように、自宅を要塞化する傾向があるが、ソーラー発電設備や蓄電池は必須アイテム。EVもその延長線上にある。
東日本大震災の際は、日本中でガソリンスタンドに長蛇の列ができた。富裕層は、あんな列には絶対に並びたくない。自宅で発電してその電力で走れるEVが1台あれば、ガソリン不足や停電でも困ることはない。だから富裕層スーパーカーオーナーは、1台はEVを持っているか、今は持っていなくても近い将来導入を予定している。お金があればなんでもできるのだ。