運転環境の悪さがテクニックを磨いた!? まるで誘導員がいるような絶妙の「譲り合い」をバンコクで見た! (2/2ページ)

絶妙な呼吸の譲り合いが展開されている!

 バンコク市内も歴史のある都市だけに、道路には独特のクセというものを強く感じる。東京に比べると、オートバイもはるかに多く走り、若干のカオス的光景となっているのだが、意外なローカルルールを発見した。往復4車線の大通りと、往復2車線の道路が交差する交差点でも信号がないところがホテル近くにあるのだが、例えば往復2車線の道路から往復4車線の道路へ右折したいクルマがいたとすると、あるタイミングで大通りのクルマが停車して道を譲るのである。往復4車線の道路から片側2車線の道路へ右折待ちしている車両があると、あるタイミングで対向車線のクルマやオートバイが停まり、一定台数が右折していっていた。どのような“リズム”や“規則性”があって、この“譲り合い”が行われているのか、見ている限りでは、まさに地元の人の“あうんの呼吸”とでしか表現できなかった。

 日本の道路事情をみると、“村社会”とか“同調社会”といわれる割には、クルマの運転ではこの手の“あうんの呼吸”は苦手のようにも見える。全国で信号のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいるのに停まらないで通過する車両の取り締まりを強化しているのもそのいい例だろう(交通法規で決まっているのに守られない)。バンコクの大通りは横断歩道が少なく、ホテル近くで見ても押しボタン信号などは影もないのだが、通行するクルマが少なくなり渡り始めると、減速したり、停車して歩行者を渡らせてくれることが多いのとは対照的に見える(ドライバーすべてがというわけではないのは世界共通)。

 運転環境が改善途上にあるからこそ、バンコクなどの新興国の大都市は“あうんの呼吸”が大事なのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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