この記事をまとめると
■日産アリアにはシャークフィンアンテナが2つついているグレードがある
■運転席側に設置されたアンテナは準天頂衛星「みちびき」からの情報を受信するためのもの
■準天頂衛星「みちびき」について詳しく解説する
シャークフィンアンテナが2つ並んでいるクルマがある!
クルマのアンテナというと、昔はボディから細い棒が伸びているものでしたが、10年ほど前から主流となってきたのがシャークフィンアンテナ。サメの背びれに似ていることからそう呼ばれている、ルーフ据付タイプのアンテナです。コンパクトでデザインや空力をあまり損なわず、高性能なため、一気に普及が進んだと言われています。ルーフの前のほうにあったり、後ろのほうにあったりとモデルによって位置はそれぞれですが、1台に1つ付いています。
ところが先日、日産から登場した新世代EV、アリアを見てみると、グレードによってはなぜかシャークフィンアンテナが2つ!? ルーフの後方に並んでいるモデルがあるのです。1つより2つのほうが、より強力に電波を受信できそうな気はしますが、これはいったいどういうことなのでしょうか。
じつはアリアにシャークフィンアンテナが2つあるモデルには、先進の運転支援システムである「プロパイロット2.0」が搭載されています。専用のダブルシャークフィンアンテナといって、運転席側に設置されたアンテナは、より精度の高い運転支援を実現するために必要な、準天頂衛星「みちびき」からの情報を受信するためにあるのです。これまで同様、GPSからの情報や車両側の360度センシングからの情報に組み合わせることで、cm単位で自車位置を把握したり、車両の動きを制御することが可能となっています。
では準天頂衛星「みちびき」とは、どんなものなのでしょうか。私たちは今や、クルマのカーナビはもちろんスマートフォンなどでも簡単に位置情報を得ることができます。それは、昔の人が自分のいる位置を知るための手がかりとした星や灯台の灯りなどの代わりに、人工衛星が出す電波が目印となって、自分がいる場所や目的地を知ることができるのです。このように、測位情報を教えてくれる人工衛星を「測位衛星」と呼び、アメリカのGPSがよく知られていますね。「みちびき」もその測位衛生の一種。ただ「みちびき」がいる軌道は通常の衛星が位置する赤道の軌道を斜めに傾け、日本の真上を通るようにした準天頂軌道と呼ばれるものです。障害物の少ない、ほぼ真上から受信できることが特徴で、GPSが遮られてしまうような山間部や都心部の高層ビル街でも、安定した情報を得ることが可能となっています。