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ホンダのVTECが有名だが日本初は三菱だった! 「可変バルブ機構」のメカニズムと搭載車 (2/2ページ)

ホンダのVTECが有名だが日本初は三菱だった! 「可変バルブ機構」のメカニズムと搭載車

この記事をまとめると

■内燃機関が進化を果たす過程で、いろいろなメカニズムが誕生してきた

■そのひとつに可変バルブ機構がある

■メカニズムや搭載車について解説する

日本メーカーで初めて挑戦したのは三菱!

 内燃機関(とくにガソリンエンジン)が進化を果たす過程で、いろいろな新メカニズムが考え出されてきた。出力性能から見ると、過給技術(ターボチャージャー/スーパーチャージャー)の進化が大きく目につくが、燃焼の高効率化/エンジンの高出力化を基本に見ていくと、吸排気バルブの開閉タイミングを可変化する技術の実用化も大きなポイントになっている。もちろん、点火タイミングや点火電気の制御、燃料の吐出タイミング/量の制御を行う電子制御技術の進化は、もはやエンジンメカニズムの基盤であり、これを外すことはできないが、燃焼に関わる機械面での大きな進化という点では、可変バルブ機構が大きな比重を占めている。

 では、可変バルブ機構とは、いったいどんなものなのか? おさらいになるが、4サイクルエンジンの燃焼メカニズムを、もう1度振り返ってみることにしよう。第1段階は、ピストンが下降する負圧によってシリンダー内に空気を吸入する行程だ。この時、外気をシリンダー内に取り込むため、吸気バルブが開くことになる。

 第2段階が、ピストンが上昇して吸入気(空気または混合気)を圧縮する行程だ。当然、吸排気バルブは閉じていなければならない。

 そして第3段階が爆発(燃焼)行程で、強い燃焼圧力でピストンを押し下げ、この力が回転力となってクルマを進めることになる。

 第4段階が排気行程だ。爆発、燃焼行程で燃料成分が燃え尽きたガスを、ピストンの上昇力によってシリンダー外に排出する作用だ。そしてこの燃焼ガスをシリンダー外に排出するため開くのが排気バルブである。

 さて、吸排気のため適宜開閉する吸排気バルブだが、その動きを決めているのがカムシャフトだ。正確に言えばカム山だが、吸排気バルブはカム山の形状(プロフィール)に合わせて開閉運動を行うことになる。そして、この動きにはふたつの要素があって、いつ開き、いつ閉じるかというバルブ開閉タイミングと、バルブをどれほど大きく開けるかというバルブの持ち上げ量、バルブリフトによって構成されている。

 それぞれ、エンジンの回転領域によってベストな数値域があり、ひとつの設定値、いわゆる固定値で、回転全域での最適な吸排気効果を得ることはできないのである。そこでどうしたかといえば、バルブの開閉タイミングやバルブリフト量を、回転域に応じて最適な数値に変化させればよいと考えたのである。

 これが可変バルブ機構で、日本メーカーで最初にトライしたのが三菱だった。1982年のことで、排出ガス規制対策をクリアし、全メーカーが性能競争を繰り広げる真っ盛りの時期だったが、排出ガス低減、燃費性能の向上をめざし、低負荷走行時に4気筒中の2気筒を休止させる方式を考え出し、初代ミラージュ(A151系)に搭載した。

 MD(Modulated Displacement=可変排気量)方式と名付け、任意の領域で2気筒分の吸排気バルブを停止することで、半分の排気量(1400cc→700cc)で運転することを狙ったエンジンだ。このとき、バルブの休止を制御したのがロッカーアームで、任意の回転域では2気筒分の吸排気バルブが開閉しないよう、ロッカーアームを空打ちさせる方式を採っていた。

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