装備の充実は国産ミニバンが圧倒的!
また、国産ボックス型ミニバンでは常識の2/3列目席エアコン吹き出し口、3ゾーンオートエアコンの用意がない輸入ミニバンがほとんどで、欧州の気候が安定し、湿度の低い国ではそれほど問題にならないかも知れないが、四季があり、高湿度の期間も長い日本では、やはりエアコンの強力な効き(フランス車はとくに弱いことが多い)とともに、全列ともに不足ない空調環境が不可欠。
その点でも、欧州ミニバンに乗ると、とくに後席乗員から「暑い、寒い」と不満の声が上がるかも知れない。1年中、毛皮を着ていて、足の裏からしか発汗できない、基本的に暑がりの犬を後席に乗せるとしたら、なおさらではないか。
そして何と言っても、国産ミニバンは、ある意味、お茶の間の延長だから、装備は微に入り細に入りで、もてなし感満載だ。スライドドア部分のロールサンシェード、折り畳みテーブルあたりは当然として、2列目席パワーシート、左右スライドに寄る多彩なシートアレンジ性、フルフラット化、これでもかっとあるカップホルダーやUSBソケット、補助ステップ(ノア&ヴォクシーの例ではユニバーサルステップ33000円)、さらにはトヨタのHVミニバンならAC100V/1500Wコンセント(これは輸入車にはまずない)、まで用意され、車内外で家電品を使えたりするのだから、ありがたく便利。
ノア&ヴォクシーに至っては、バックドアのパワー、非パワーにかかわらず、任意の位置でバックドアを止められる機構も備えているし、アドバンストドライブによって限定的ハンズオフドライブまで可能なのだから、先進的かつ便利すぎるミニバンに仕上がっているのである。
とはいえ、VWゴルフ・トゥーラン、BMW2シリーズグランツアラー、シトロエン・グランドC4スペースツアラーあたりは、国産ミニバンとは一線を画す走行性能、走りの気持ち良さを備えている。国産ミニバンにある過剰とも言えるもてなし感こそない代わりに、走りに満足しやすいミニバンということだ。
多人数乗車できることと、かゆいところにまで手が届く便利さは別。そのあたりを割り切れれば、オシャレな輸入ミニバンを選んでも後悔しないだろう。もっとも、ミニバンはスライドドアのほうが2/3列目席の乗降性の良さで圧倒することは、間違いないところだ。