軽量化を極めすぎてリヤシートなし!
つづいてイタリア代表の軽量バージョンを紹介しよう。イタリア語で超軽量を意味する「スーパーレジェーラ」をそのまま車名としているモデルは二輪のドゥカティに存在するが、四輪スポーツカーとして記憶に残るのは、2010年のジュネーブショーで発表された「ランボルギーニ・ガヤルドLP570-4 スーパーレジェーラ」だ。
ベイビーランボと呼ばれることもあるガヤルドだが、エンジンがV12でないからそう呼ばれるのであって、ミッドシップに搭載されるV10エンジンの排気量は5.2リッター。グレード名からもわかるように最高出力は570馬力に達している。駆動方式は4WDだ。
スーパーレジェーラは、標準モデル比で70kg軽量化されたというのがセールスポイント。内装でいえばシートやドアトリム、外装ではリヤウイングやディフューザーがカーボン製になっていることが軽量化への執念を感じさせる。
フランス代表としてピックアップしたのは、ホンダ・シビックタイプRとFF世界最速の座を競い合うルノー・メガーヌRS(ルノースポール)だ。その超軽量バージョンが2020年に世界限定500台(日本向けは51台)として発売された「メガーヌRSトロフィーR」である。
5ドアハッチバックボディながら、リヤシートを完全に排除して2シーター化するなど徹底して軽量化を施したことにより、車両重量は1330kgとなり、標準モデルから100kg以上も軽くなっている。シートを外して広大なスペースとなったラゲッジは、サーキット用タイヤを納めることを想定したネットが備わっているのも、FF最速を目指したマシンらしいトピックスのひとつとして記憶に残る。
最後が日本代表。2021年12月に発表されたマツダ・ロードスターの特別仕様車「990S」を軽量バージョンとして紹介しよう。
その車両重量は990kg。当然ながら車検証を確認しても990kgとなっている。カタログ値でいえばベースとなったSグレードも同じ990kgだが、日本の基準では10kgが最小単位となっているため、実測値では「990S」が最軽量モデルになっているというのがマツダの主張だ。
しかも990Sは、フロントにブレンボのブレーキシステム、リヤに大型ディスクを採用して止まる性能を高めている。その上で、1本あたり約800gの軽量化を実現するレイズのアルミホイールなどによってバネ下重量を軽減しているという。走りに直結する装備を充実させながら軽量化を果たしているのだから、冒頭で記した「軽さは正義」を地で行く特別仕様車だ。
なお、同じ1.5リッターエンジンでビルシュタインのサスペンションなどを採用している「RS」グレードの車両重量は1020kgとなっている。1000kgというのは重量税の税率がかわる重さであり990Sはロードスターの中でも維持費の面でお財布にやさしい仕様となっているのだった。