守りに入らずRXを壊して欲しい! 高すぎる社長のハードルを乗り越えた最強SUV「新型レクサスRX」が世界初公開 (1/2ページ)
この記事をまとめると
■レクサスが新型RXを発表
■日本での発売は2022年秋頃を予定している
■新型RXの詳細について解説する
果敢に挑戦した5代目RX!
2022年6月1日、LEXUS(レクサス)は、新型ラグジュアリーSUV「RX」を世界初公開。なお、日本での発売は、2022年秋頃を予定している。
今回で5代目となる新型RXでは変革に挑戦し、全面刷新を遂げた。チーフエンジニアの大野貴明さんは豊田章男社長から「守りに入らずRXを壊してほしい」と言われたという。それを受け、止まっているべきではない、一段も二段もレベルを上げていくという考えを軸に開発をスタートしたそうだ。
では新型RXの詳細を見ていこう。
新型RXの走り
GA-K改良プラットフォームを採用。軽量化と低床化により、重心高を従来型から15mm下げた。全長は従来型と同様ながら、ホイールベースを60mm延長し、トレッドを前15mm、後45mmずつ拡幅することで、ヨー慣性モーメントを低減させるパッケージとした。
サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式サスペンション、リヤには、路面への駆動力の確実な伝達とスムースな車両姿勢変化の両立を目指し、新規開発のマルチリンク式サスペンションを採用。アッパーアーム配置と形状の工夫により、ボディサイドメンバーが室内側へ張り出すことのない、広い室内スペースを確保している。さらに、ショックアブソーバー配置とサスペンションメンバーのマウントブッシュ特性の最適化により、発進、加速時の車両姿勢変化を抑えると共に、走行時の車両の振動を抑制する。
アブソーバーには、極低速域から減衰力を確保するスイングバルブを採用。AVSには、減衰力切り替え応答性に優れたリニアソレノイド式を採用し、F SPORTには標準装備される。リニアな走りと上質な乗り心地を高次元で両立しているという。
マルチリンク式サスペンションの採用に併せて、GA-Kプラットフォームのリヤ部分を新たに開発。加えて、車両加減速、操舵旋回時のサスペンションからの入力をしっかりと支える、ねじり剛性の高いリヤボディの骨格配置も採用。また、リヤサスペンション及びリヤサスペンションメンバーの取り付け部は、高い着力点剛性を確保した。骨格の接合においては、レーザースクリューウェルディング(LSW)や構造用接着剤に加え、短いピッチで溶接を可能とする短ピッチ打点技術を採用し、接合剛性を向上。ステアリングサポートの材質には高剛性のアルミダイキャストを採用し、よりリニアなステアリング応答性を確保した。さらに、操安性の向上に効果があるサスペンションの締結部の締結剛性を高め、製造工程の造り込みによりトー、キャンバー、ロールステアなどのホイールアライメント精度を向上し、動的性能を最大限に引き出している。
またプラットフォームの主要骨格部材の最適な材料置換に加え、フロントフェンダーのアルミ化や、Bピラーには、世界初となる安全性と軽量化を両立した2GPa(ギガパスカル)級のホットスタンプ材を採用するなど、車両重量を従来型比で90kgの軽量化を達成。軽量化は、重心高の低減や操縦安定性の向上に寄与している。
加えて、前後独立油圧制御により、前後回生協調が可能な加圧ユニットを採用。より自然で扱いやすいブレーキフィーリングを実現した。さらに、加圧ユニットによる前後独立の油圧制御により、ドライバーのブレーキ操作量に応じた前後輪の制動力配分を最適化するブレーキ車両姿勢制御を採用。制動によって前後のタイヤに発生する力を最適に利用することで、減速から旋回においてシームレスに繋がる気持ちよさと高い安心感のある走りに貢献している。
空力操安技術では、フロントまわりの風流れの適正化により、Cd値低減だけでなく優れたブレーキの冷却性も確保。床下では、エンジンアンダーカバーにディンプル形状を設け、微小渦を床下に発生させることで、接地感を高めるとともに、高速域の走行安定性を高めている。ドア意匠面からガラス面までの段差最小化による高い整流効果や、リヤスポイラーの後端形状と門型スポイラーの形状工夫による、流れる空気の乱流抑制効果で、操縦安定性を向上させた。
新型RXの静粛性
新型RXは、路面や周辺環境の変化に強く特定の音が目立たない、バランスの取れた静粛性を追求。
NXに続き、ドアのシール性を向上させるオープニングウェザーストリップとフロント/リヤドアガラスラン形状や、エンジンフードの振動を抑制するツインロック構造、高遮音タイプのフロントドアガラスを採用した。
新開発のマルチリンク式サスペンションや最適な骨格配置で実現した、高いボディ剛性による振動抑制に加え、吸音材の最適配置や減衰力の高い接着剤と制振材を適所に導入することで、ロードノイズを低減。
また、フロントピラー/カウルまわりの風の流れを整流し、ドアまわりでは段差を低減することで、風切り音の低減を行った。
新型RXのエクステリア
ホイールベース延長、低重心化、前後トレッドの拡幅によるスタンスの良さをベースとしながら、駆動力コントロールやDIRECT4という新たな走りのために、低重心で踏ん張り感のあるスタイルを実現した。
サイドビューでは、フード先端を上げ、バックウィンドウ後端を下げることで、水平的で低重心な姿勢を表現。
全長とフロントオーバーハングはキープしながら、Aピラーの付け根を後ろに下げることで、フードの伸びやかさを強調するとともに、キャビンの重心がリヤに乗っているようなスタンスの良さを表現している。
リヤドアからリヤフェンダーにめがけて力強く張り出す面は、eAxleが生み出すトラクションの力強さを表現し、そこからサイドシルによどみなくつながる造形は、美しいハイライトのループを生み出している。
特徴的な表現に挑戦してきたクォーターピラーは、4代目RXから取り入れたフローティングピラーを踏襲しながら、より立体的に進化させ、リヤまで回り込んだデザインとすることで、スタイリッシュな印象とした。
リヤビューでは、横方向にぬけたシンプルな構成とすることで、力強い低重心の構えを実現。リヤコンビネーションランプは、Lシェイプ一文字シグネチャーランプを採用し、レンズをボディサイドまで回り込ませることで、ワイドなシルエットを強調している。
またレクサスの象徴であるスピンドルを、立体の塊で表現した「スピンドルボディ」を採用。ボディ色をレクサスマーク下端まで下げ、グリルのグラデーションによる数理的な美しさとともに塊造形の強さを強調。ボディとグリルの境界を融合させたシームレスな表現とすることで、冷却機能と両立しながら、力強さと低重心を表現し、新しいアイデンティティと独自性の表現に挑戦している。
ボディカラーには、新たな金属質感表現を追求した「ソニックカッパー」を採用。レクサス独自のソニック技術による金属質感表現と豊かな色彩の調和により、時の移ろいのなかで力強さや華やかさを演出する。その他、陰影感を強調するソニックイリジウムやSUVとしての力強さを表現する有彩色テレーンカーキなど、全11色をラインアップ。
新型RXのインテリア
新型RXのインテリアデザインは、人が馬を操る際に使う「手綱」に着想を得たレクサスのコックピットデザインの考え方、「Tazuna Concept」に基づいている。ステアリングスイッチとヘッドアップディスプレイを高度に連携させ、視線移動や煩雑なスイッチ操作をすることなく、運転に集中しながらナビゲーションやオーディオなどの操作が可能な空間を実現。センターディスプレイは大型のタッチディスプレイ(14インチ・9.8インチ)を採用し、多くの機能をディスプレイ内のソフトスイッチに集約している。スイッチのサイズや形、レイアウト、表示情報など細部までこだわり、各機能の使用頻度も考慮しながら直感的に操作できる最適な配置と形状を追求した。
また、水平的な空間の広がりを感じさせるインストゥルメントパネルを採用するとともに、メーターフードからドアトリムまでおおらかにつながる造形によって、開放的な空間の広がりと乗員全員が包み込まれるような空間を実現。インストルメントパネル周辺に採用したマルチカラーイルミネーションは、夜間でも広がりと包まれ感を感じる空間を演出している。なお、パノラマルーフ仕様では、更なる開放感と前後への抜けの良さを引き立てている。
インテリアカラーには品格のある空間を演出する新規開発色「ダークセピア」をはじめ、合計6色を設定。オーナメントパネルでは、コックピットからのつながり、インストルメントパネルやコンソールの造形を強調する、ブラックカラーを基調とした新規開発の「ブラックヘリンボーンパターンフィルム」や、奥ゆかしさや華やかさを演出する、落ち着いた色調が特徴となる新規開発の「ミディアムブラウンバンブー」などを設定している。