この記事をまとめると
■国産車のセダンはいまかなり数が減ってしまった
■そんな状況においても、トヨタは多彩なラインアップを誇る
■トヨタのセダンの歴史や現行車種について詳しく解説する
■セダンのラインアップが多数健在
国産車においては、その存在価値が薄れているセダン。少なくとも1990年代前半までは乗用車の花形だった3ボックスセダンはいまや見る影もありません。
そんな状況のなかにおいても、さすがトヨタというべきか一昔前に比べると少なくなってきてはいますが、多彩なラインアップを誇ります。
今回はトヨタのセダンについて深掘りしていきましょう。
■そもそもセダンの定義とは?
自動車好きのみならず、そうでない方でも耳にしたことがあるセダンという言葉。
JISによると「座席が2列合計4席以上、側面に2枚もしくは4枚のドアがあり、側面に4枚の窓がある箱型の乗用車」がセダンだとされています。
ただ、一般的には3ボックスの4ドア車をセダンと認識することが多いのですが、その定義は少し曖昧で、トヨタはハッチバックのプリウスもセダンとして販売。このようにメーカーなどが定義するセダンは一般的な見方とは異なる場合もあるため、今回はエンジンルーム、車室、トランクルームがそれぞれ独立している「3ボックスセダン」をセダンとして話を進めます。
話をセダンの定義に戻しましょう。「セダン(Sedan)」の語源は諸説ありますが、ラテン語の「Sedere(座る)」からきたとの説が有力視されています。
一時期、国内で販売される高級セダンを「サルーン(Saloon)」とも呼ばれていましたが、これはフランス語の「サロン(Salon)」を起源とする英語で、本来はセダンと同じ意味で使われています。ただ、なぜか国内ではセダンの上級仕様をサルーンとしてジャンル付けされていました。また、サルーンの語源となったフランス語ではセダンを「ベルリーヌ(Berline)」、お隣のドイツでは「リムジー(Limousine)」と呼んでいます。
■セダンのメリット・デメリット
先に話したように、国内では減少傾向にあるセダン。ただし、セダンならではのメリットも数多く有しています。まず、車室とトランクルームがはっきりとわかれていることで荷物が発する匂いが室内に入ってこないこと、また荷室が原因となるロードノイズもシャットアウトが可能。その結果、静粛性が高まることはセダンの大きな魅力といえるでしょう。
また、トランクルームが独立していることで外部からトランク内に積載した荷物が見えないことが盗難を防止する抑制力になるとも言われています。その他、先進安全支援装備による予防安全性能が高まっている現在でも、もらい事故などによる後部からの衝突に強いことも挙げられます。これは乗員が乗る車室がトランクと仕切られる構造のため、ボディ剛性がハッチバック車とくらべ高いことによるものです。
しかし、近年、セダンの需要が減少した理由となるデメリットも当然かかえています。高い着座位置から運転するSUVやミニバンに乗り慣れている方にとって、それらの車種より着座位置が低いセダンは乗り降りしにくい、と感じてしまうようです。また、ミニバンユーザーにとって天井がミニバンより低いセダンの車内スペースは浅くも感じると……。
しかも、セダンの特徴といえる独立したトランクルームは縦方向のスペースが限られてしまうため、積載する荷物の制限がシートを倒すことにより荷室スペースが拡大できるミニバンなどに比べ融通が効きません。
さらに挙げるとすれば、セダン最大のデメリットとなるのが「セダンに乗る人=年配」とのイメージではないでしょうか。このイメージが広まったことで、若いユーザーが国産セダンを敬遠。各社のラインアップが減少してしまったと筆者は考えます。