高級車ならではの風貌は周囲に圧倒的な存在感をアピールできた
トヨタ・クラウンマジェスタ
トヨタ車をベースとしたヤン車も数多く存在していたが、一時期はセルシオを凌ぐ人気となっていたのがクラウンマジェスタだろう。日本の高級車の代表であるクラウンの雰囲気を持ちながらも、より押し出し感の強いデザインと大柄なボディを持ったマジェスタは、存在感の大きさも重要なポイントとなっていたヤン車界隈では人気が高かった。
とにかく低い車高とイカついエアロはマストで、大径のディッシュ系ホイールを組み合わせれば定番のヤン車スタイルの完成であり、若干余裕のあるユーザーはV8エンジンに直管マフラーを組み合わせ、威圧感タップリのサウンドを響かせていたのだ。
日産 プレジデント
1990年代のヤン車で他人と差別化を図りたいユーザーが奮発して乗っていたのが、日産のショーファードリブンであるプレジデントだ。ライバル車のセンチュリーは1967年にデビューした初代モデルが97年まで販売されていたのに対し、プレジデントは1990年に2代目へとフルモデルチェンジを果たしていたため、ひと目で新しいモデルであることがわかる点がアドバンテージだったのだ。
また、モデル途中で追加されたバネサス仕様もヤン車らしいベタベタの車高にするのには好都合であり、兄弟車であるインフィニティQ45やプレジデントJSとともに人気を誇っていたのだが、2003年に登場した4代目モデルはほぼシーマの兄弟車のようになってしまったため、そこまでの人気とはならなかったようだ。
トヨタ・ソアラ
ヤン車というとセダンタイプの高級車が主流であったが、クーペタイプでありながらヤン車のベースに選ばれることが多かったのがソアラだった。というのも、ヤン車マンガの代表格である「シャコタン☆ブギ」の主人公の愛車がソアラ(初代)であり、初代と共通のデザインテイストを持った2代目モデルもまたヤン車のベースとして愛された1台だったのだ。
そもそもヤン車のルーツは街道レーサーであり、街道レーサーは1970年代から80年代にかけて開催されていたグラチャン(富士グランチャンピオンレース)の前座レースだったツーリングカーレース参戦車がモチーフとなっていたため、スポーティクーペがヤン車のベースになるのもなんら不思議がなかったのである。