力いっぱい引いたのはサイドブレーキではなく……
3つ目も教習所でのお話です。今のクルマは電子制御のサイドブレーキが主流で、シフトレバーを「P」に入れると自動的にサイドブレーキが引かれるクルマも多くなっていますが、昔は手でレバーを引き上げて操作するサイドブレーキが圧倒的でした。教習所でももちろん、手動のサイドブレーキの教習車が使われていて、実地講習の終わりにはいつも、サイドブレーキを引き、エンジンを切って終了という流れだったと思います。
その日、厳しいと評判の鬼教官に当たってしまったBさん。最初から最後までずっとガチガチに緊張し、まだ操作もおぼつかないため何度も注意されて、頭は真っ白に。地獄のような講習がようやく終わりに近づき、「よし、あとはサイドブレーキを引くだけだ」と安堵しつつ力いっぱいレバーを引くと……。バタン! と倒れたのは運転席の背もたれ! 仰向けになりながらパニック状態のBさん、なんとあまりの緊張で自分の左側にあるサイドブレーキと、右側のシートについているリクライニングのレバーを間違えてしまったのでした。鬼教官がどんな反応をしたのか、見てみたかったですね。
4つ目は、初めて輸入車を運転する人なら、十中八九、一度は間違えるのがウインカーとワイパーでしょう。ほとんどの輸入車が、日本車とは左右のレバーの位置が逆になっているからです。初めて憧れのドイツ車を購入し、販売店で納車式をしてもらい、多くのスタッフが見送る中、駐車場から出ようとしていきなりワイパーを高速で動かしてしまって超恥ずかしかった! という人。大切な彼女とデートだからと、親の高級輸入車を借りてきたのはいいけど、何度もワイパーと間違えて笑われた! という人も。同じように、ガソリンスタンドで給油口を開けようとして、スイッチを押したらトランクが開いてしまった、という笑い話も多いですよね。
5つ目は、熟練ドライバーがよくやっている、道を譲ってもらったお礼などに、パパッと短くパッシングをして「ありがとう!」と合図を送る動作。これって初心者の頃はものすごくカッコよく見えるものなんです。が、いざやろうとすると、これがなかなか難しい。ライトのレバーって意外に指だけで速く操作するには重いし、戻り切らなくてずっとハイビームになってしまい、逆に「嫌がらせかよ」と思われたり。そのまま気が付かなくて、しばらくハイビームのまま走り続けてしまって、ただの迷惑ヤローになっているのも初心者の悲しいところです。
さらに、お礼のパッシングをするつもりが反対側のレバーを引いてしまい、いきなりフロントガラスにバシャッ! とウォッシャー液が噴き出す始末。一瞬前が見えなくなって、なにが起こったのか分からずオロオロしちゃいますよね。「なにやってんだ、オレ」と落ち込むのもわかります。タイミングよく、カッコいいありがとうパッシングが簡単にできると思ったらそれは勘違いと言えるかもしれませんね。
ということで、昔はそんなことあったな〜と懐かしく思った人も多いでしょうか。やらないように気をつけようと密かにメモった人も、大丈夫です。こういう失敗や勘違いを乗り越えた先に、熟練ドライバーが出来上がるのですから。