人気だったにもかかわらず消えた車種も
同様のことがステーションワゴンにも当てはまり、以前は人気の高かったトヨタ・カルディナ、日産ステージア、ホンダ・アコードワゴン/ツアラーなどが過去のクルマになっている。
その一方で、人気の高いカテゴリーなのに廃止された車種もある。たとえば日産キューブは背の高いコンパクトカーで、2008年に発売された最終型は、2009年には1カ月平均で約5000台が登録された。
また2022年4月には、キューブに似た背の高いコンパクトカーのルーミーが1万1000台以上を登録して、小型/普通車の販売1位になっている。なぜ売れ筋カテゴリーのキューブを廃止したのか。
この背景にあるのは、海外を重視する日産の商品戦略だ。2011年以降の日産は、国内で発売する新型車を大幅に減らして、一時期は2年に1車種というペースになった。この影響を受けて、キューブは国内市場に適した売れ行きを伸ばせる商品なのに、廃止されてしまった。
直近ではホンダのオデッセイにも同様の傾向が見られる。価格が350〜450万円に達する高価格車としては、決して売れ行きの乏しいクルマではなかったが、生産を受け持っていた狭山工場の閉鎖に伴って廃止された。その結果、Lサイズミニバンは、トヨタアルファードの天下になっている。
ユーザーから見ると、キューブやオデッセイは優れた商品で、販売も堅調だった。セダンやステーションワゴンと違って、カテゴリーの人気も根強い。存続させるべき商品でも、メーカーの国内市場に向けた商品戦略が消極的になると、廃止されてしまうのだ。