販売堅調な人気車なのに消滅の謎! 最近生産終了となったクルマとその理由 (2/2ページ)

人気だったにもかかわらず消えた車種も

 同様のことがステーションワゴンにも当てはまり、以前は人気の高かったトヨタ・カルディナ、日産ステージア、ホンダ・アコードワゴン/ツアラーなどが過去のクルマになっている。

 その一方で、人気の高いカテゴリーなのに廃止された車種もある。たとえば日産キューブは背の高いコンパクトカーで、2008年に発売された最終型は、2009年には1カ月平均で約5000台が登録された。

 また2022年4月には、キューブに似た背の高いコンパクトカーのルーミーが1万1000台以上を登録して、小型/普通車の販売1位になっている。なぜ売れ筋カテゴリーのキューブを廃止したのか。

 この背景にあるのは、海外を重視する日産の商品戦略だ。2011年以降の日産は、国内で発売する新型車を大幅に減らして、一時期は2年に1車種というペースになった。この影響を受けて、キューブは国内市場に適した売れ行きを伸ばせる商品なのに、廃止されてしまった。

 直近ではホンダのオデッセイにも同様の傾向が見られる。価格が350〜450万円に達する高価格車としては、決して売れ行きの乏しいクルマではなかったが、生産を受け持っていた狭山工場の閉鎖に伴って廃止された。その結果、Lサイズミニバンは、トヨタアルファードの天下になっている。

 ユーザーから見ると、キューブやオデッセイは優れた商品で、販売も堅調だった。セダンやステーションワゴンと違って、カテゴリーの人気も根強い。存続させるべき商品でも、メーカーの国内市場に向けた商品戦略が消極的になると、廃止されてしまうのだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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