海外を視野に入れないことで国内での人気がさらに高まる
日本でミニバンが普及を開始したのは、ステップワゴンなどの初代モデルが発売された1990年代の中盤だ。今では30年近くが経過するから、ミニバンも国内市場に定着した。ミニバンに親しんだ子供が成長して子育てをする世代になり、自分の親と同じように、ミニバンを購入するケースも増えている。
ミドルサイズミニバンが海外で売られない理由として、狭い全幅と高い全高による走行安定性の不安も挙げられる。新型のノア&ヴォクシーやステップワゴンは3ナンバー専用車になったが、従来型やセレナは、標準ボディが5ナンバーサイズに収まった。
その一方で全高は1800mmを超えるから、全幅の数値を上まわる。欧州のように日常的に高速走行の機会が多い地域では、高重心のボディは走行安定性を確保するのが難しいと判断され、ミドルサイズミニバンのようなクルマは敬遠される。
このほか先に触れたハンドルの位置関係も挙げられる。日本では車両が左側を通行するから、右ハンドルになる。海外には右側通行の地域が多いから、本格的に販売するには、左ハンドル仕様を用意せねばならない。この開発/製造コストが高まることも、ミドルサイズミニバンの海外進出を難しくしている理由だ。
そうなるとミニバンは海外市場を考慮しないから、軽自動車と同じく100%国内向けに開発される。海外市場を横目で見ながら開発されたクルマとは、日本のユーザーに向けた心意気が違うため、ミニバンはますます人気を高めるわけだ。