この記事をまとめると
■ショーファーカーの後席の乗り心地はなかなか知る機会がない
■普通のクルマにはついていない装備などが用意されていることも
■この記事ではセンチュリーとマイバッハSクラスの後席について解説
セレブのみぞ知る!? ショーファーカーの後席の乗り心地
財閥の御曹司と偶然出会い、恋に落ちる庶民の女性……。はたまた、普通にお付き合いをしていたのに、いざ結婚となったら彼の実家が大金持ちだった……。なんて、韓国ドラマを見ているとよくあるシチュエーションなんですが、「そんなこと、ナイナイ」とは思いつつも、やっぱり女性なら一度は憧れるものです。高級ブランドのお店に行って、試着した洋服を「それぜんぶもらおうか」なんて彼がブラックカードを出すシーン! 反対側に座る人の声が聞こえないくらい長いテーブルで、お手伝いさんが運んでくる料理を存分に味わうシーン! そしてもう1つ、運転手付きの豪華なクルマの後席に乗って出かけるシーンも、「セレブだったらやりたいこと」の1つではないでしょうか。うやうやしく後席のドアを開けてもらい、優雅に乗り込む女性はまさに別世界の人という感じで、庶民からすると「いったいあの後席はどれほど快適なのだろう」とうっとりしてしまいますよね。
そこで今回は、日欧それぞれを代表するセレブなクルマの後席をリポートしたいと思います。
まず日本を代表するセレブなクルマといえば、長い歴史を持つトヨタ・センチュリー。初代が登場した1967年は明治でいえば100年にあたり、同時に創業者・豊田佐吉の生誕100年に当たることから命名された、日本唯一のショーファードリブンです。皇族の方々が乗られることでも知られていますよね。そんなセンチュリーの最新モデルは、2018年に登場した3代目。エンジンがそれまでのV12からV8になり、モーターと組み合わせたハイブリッドとなったのが大きな特徴です。
そして注目の後席は、乗り込んでまず感じるのが、前席との隔離感がものすごいこと。まるで壁のように前席と隔たれていて、プライベートな空間が保たれています。そして背もたれに身体を預けた時の、なんともいえない安心感。これはセダンとしてはベルトラインが少し高めなのか、ぐるりとボディに包まれている感覚が強いことと、シートのクッションの厚みや弾力が……もはや家具。
もちろん、シートアレンジは電動で、大きなタブレット型のリアマルチオペレーションパネルが中央に備わり、それを指でタッチするだけで、好みの姿勢に変えられるようになっています。前後スライド、ランバーサポート、リクライニング、上体起こし、ヘッドレストの調整も自在です。とくに、助手席側の後席なら助手席がめいっぱい前になって、背もたれを傾けた状態で使える電動オットマンも装備。「シートリフレッシュシステム」も付いていて、エアプラダー(空気袋)の作動で指圧のような効果が得られるので、仕事の疲れも即座に癒せるのがいいですね。実際に使ってみると、もう少し強く押してほしいような気もしましたが、睡眠を妨げないような心地よさが好みの人には良さそうでした。
こうしてリクライニングとオットマンでラクな姿勢を取ったら、備え付けのカーテンを閉めてしまえば、外からの視線も気にならず、日差しを遮ることもできるので、眠ったり読書をするには最適。11.6インチのリヤシートエンターテインメントシステムで、映画鑑賞にも良さそうです。書類にサインするような場面でも使いやすいテーブルもあるので、移動中に残った書類に目を通すような、大企業の重役も多いのではないでしょうか。
そして走り出すと驚くのは、高速道路でも一般道でも、「舗装をやり直したのかな?」と勘違いするくらい、乗り心地がしっとりと落ち付いていることです。これはセンチュリーにAVS機能付き電子制御エアサスペンション(車高切替機能付)が採用されていることや、乗り心地や静粛性などにこだわった18インチタイヤが装着されている効果が大きいと思いますが、高速道路の継ぎ目のショックや音が、どこか遠くの世界で「コトン」と静かに鳴っているような感覚には驚きましたね。こんなクルマに日本の偉い人が乗っていたら、私たちしもじもの者が感じている道の悪さには気がつかないのも仕方ないなぁと、妙に納得したのでした。センチュリーのお値段は、2080万円からとなっています。