「いま復活したら意外と流行るかも!?」な装備
シートベルトの発明もクルマの安全普及に欠かせないものだった。1959年にはすでにボルボが3点式シートベルトを市販車(PV544)に装備したというし、その特許を無償公開することで、1966年のアメリカでの連邦交通車両法をきっかけに、シートベルトは一気に普及。今では前後席ともに欠かせない安全装備となっている。
ミニバンのロングスライド付き2列目席などには、シートの肩からシートベルトを引き出せるタイプもあり、シートスライド位置にかかわらず、最適にシートベルトをかけられるのだ。そんなシートベルトの変わり種が、1990年代の三菱エクリプスなどに採用された、なんと前席用の電動自動装着3点式シートベルト。乗り込んでドアを閉め、エンジンをかけると自動的に装着され、ドアを開ければ自動で取り外されるという画期的なアイディアだった。
とはいえ、完全自動ではなく、ベルトをくぐってシートに座る必要があり(あくまで記憶)、かえって面倒……。これも一般車両では瞬間風速的装備になったようだ。ただし、福祉車両の一部では最近でも現役だった模様。
いまでもないでもない、車内の一見すると便利そうに思える装備が、室内のコンソール内などを利用した温冷蔵庫。エアコンと連動し、たしかに飲み物やおしぼりを温め、冷やすことができるのだが、そもそも冷蔵庫とエアコンの温度は違いすぎるし、なにより走っていて、エアコンがビンビン作動しているときでないと温め、冷やすことはできない。熱々のタオル、キンキンに冷えた飲み物を出せるわけではなく、実用性はいまひとつ。ないよりはいいぐらいの便利さで、あまり普及していない。そもそも、せっかくの希少な物入れスペースが、物入として使えなくなる不便さもあるのだ(シャッターはある)。
ちなみに、90年代のマツダ・ボンゴフレンディに採用されたメーカー純正のポップアップルーフも、それっきりという感じだが、空前のアウトドア、車中泊ブームのいま、カスタマイズメーカーのキャンピングカーに採用例が多いのも事実。
もっとも、ポップアップルーフ部分に登る、そこから降りるのは、けっこう大変。リタイヤ組の高齢者の間でも車中泊、キャンピングカーが流行っているけれど、足腰が弱った人だとさらに大変。ボディ剛性、重心、雨漏り対策、重量増などの問題で、メーカー純正として出てくるのは、けっこうハードルが高いと思われる。