軽自動車もタイヤサイズで最小回転半径が大きく変わる
とはいえ例外もある。カタログ値でいうと、最小回転半径が4.7~4.8mというのは軽自動車におけるワーストランキングに入ってくる。はたして、どのような面子が“小回りの利かない軽自動車”となっているのだろうか。
最小回転半径4.8mのクルマの中では、ジムニーとタフトというSUVに目が留まる。ジムニーはホイールベースこそ短いが、175/80R16という大きなタイヤを履いていることが最小回転半径を大きくしている。軽自動車は幅が制限される関係で、タイヤハウスのスペースに限りがあり、このサイズのタイヤになると切れ角を稼ぐのが難しくなってしまうのだ。
ベーシックグレードの最小回転半径は4.5mとけっして大きいとはいえないN-ONEでも、165/55R15サイズのスポーツタイヤを履くRSグレードなどでは4.8m組に入ってしまうのは、やはりタイヤの影響を受けていると考えられる。
また、一般論でいえば、横転を避けるためにタイヤ切れ角を小さくするという安全に振ったセッティング手法もある。日産ルークスと三菱eKスペース、日産デイズと三菱eKという兄弟車において、それぞれ太めのタイヤを履いたスポーティグレードになると最小回転半径が大きくなってしまうのは、そのような理由が絡み合ってのことと考えられる。
ところで、ホイールベースが短くてタイヤが小さいといえば、軽自動車の中でもキャブオーバースタイルの軽トラックは別格だ。ダイハツ・ハイゼットトラックのホイールベースは1900mm、スズキ・キャリイは1905mmとなっているが、いずれも最小回転半径は3.6mと同じ軽自動車とは思えないほど小さい。
なお、同じ軽商用車といっても1BOXタイプのモデル(ダイハツ・ハイゼットカーゴ、スズキ・エブリイなど)の場合は、セミキャブオーバースタイルといって、ちょっと鼻先が伸びたシルエットとなっている。そのためホイールベースも長くなってしまう。
ダイハツ・アトレーは軽商用1BOXの乗用仕立てといえるモデルだが、そのホイールベースは2450mmとタントなどとさほど変わらない。ただし、アトレーはFRプラットフォームでフロントタイヤの切れ角を大きめにとれるというメリットがあるため、カタログスペックの最小回転半径は4.2mとなっている。
FFプラットフォームの平均的な性能と比べても、より小回りが利くモデルになっているといえるのだ。