街中をゆったり走るなら不便なし
サスペンションはフロントストラットで、リヤはトーションビーム式のいずれもコイルスプリング方式である。そのセッティングはややバネレートが硬くピッチングやローリングを起こさないように工夫されているといえる。全長が短くまた車高が高いので、加減速時のピッチングやコーナリング時のローリングなど、姿勢変化を起こさないようにするためサスペンションが硬く設定されているのだろう。
一方ステアリングはパワーアシストが付いておらず、キャスター角により操舵力を軽くする工夫がされている。その辺も最近の乗用車に乗り慣れた感覚から言うといささかチープな印象を受けるのは否めない。またブレーキはフロントにディスクブレーキ、リヤはドラムブレーキを装備しているが、サーボアシストは付いていない。そのため踏力は少し必要かもしれないが、最高速度が60km/hでアクセルを離すとモーターの回生ブレーキもかかるため不便を感じることはなかった。
左右ドアのサイドウインドウはパワーウインドウではなく、またハンドル回転式の上げ下げ方式でもない。ウインドウ上部のつまみを手で操作し上げ下げするという非常にシンプルな構造が取られている。
フロントの先端部に充電用のポートがあり100Vと200Vの普通充電で充電することができ、200Vであれば5時間、100Vでも16時間で満充電にすることができる。
車体重量は690kg、最小半径回転が3.9mということで取り回し性はいたって優れている。
市街地で一般車に混ざって走行してみると、動力性能が低いため、流れをリードして行くような走行は難しい。あくまで道路の左側を指定速度内でゆったりと走行するのが似合っている。また車体全体がコンパクトなため、前後左右の見切りもよく、バックモニターなどの運転アシスト装備は持たないが、決してそれで不便を感じることはないだろう。
ただし、中国のマイクロミニカーも近年その仕上がりを非常に高度に進化させていて、ナビゲーションやCarPlayで携帯電話と接続でき、USBの電源ジャックを備えるなど、普通乗用車と変わらないような装備を誇っているものが多くなった。そんななかにあっては『シーポッド』はまだまだ生まれたばかりであり、今後さまざまなユーザーからの要望などがフィードバックされ進化をしていく過程にあると言えるだろう。
販売価格はグレードXが165万円、グレードGは171万6000円となっていて、軽自動車が買える価格帯であるだけに、補助金や行政の優遇制度などが適用されることが普及への大きな助けになる。