日本のEV市場に革命が起きる予感! 三菱eKクロス EVはニッポンの使い勝手ドンピシャの1台だ (2/2ページ)

女性やセカンドカーにもおすすめできる三菱eKクロス EV

 今回は撮影会場内を少し動かす程度で、試乗とまではいかなかったものの、シートの座り心地はかなり感触がよく、スタートボタンを押すと静かに目覚める感覚といい、アクセルを踏み込むと同時にスーッとなめらかに動き出し、適度な重厚感をともなってシッカリと余裕のある加速をしていくところに、「早くちゃんと走らせてみたい」と大きな期待を抱かずにはいられなかった。外観を眺めているよりもずっと、ドアを開けてシートに座り、ハンドルを握ってからの方がガソリンモデルとの違いを強く実感するのがeKクロス EVだ。

 ちなみに走行モードは、エコ、ノーマル、スポーツがあり、それぞれキャラクターの異なる走りが楽しめるという。アクセルペダルの操作で減速をコントロールできる「イノベーティブペダルオペレーションモード」も採用され、スポーツはとくに回生を強くして、ワインディングなどでメリハリのある走りにも向いているとのこと。ただ、完全停止するにはブレーキペダルの操作が必要となっている。4WDの設定は今のところ未定だが、12%の坂道まで作動するグリップコントロールもついており、多少の不整地や雪道も頼もしそうだ。

 そして、気になる一充電あたりの航続距離は、最大180km(WLTCモード)。これは三菱自動車の調査により、軽自動車に乗る人が1日に走行する距離として、もっとも多いのが10km未満、次が10〜20km、ついで20〜30kmだったことから、180kmでも十分に使いやすいという根拠に基づくという。たとえ、1日50km走行したとしても、2〜3日ごとに充電すればいいというのは確かにラク。EVは、冬場にヒーターを使うとみるみる電池残量が減っていくのが気になるが、エアコン効率を最大限アップするなど、航続距離と快適性の両立にも気を配っているとのこと。

 充電にかかる時間は、自宅などに設置することが多い200Vの普通充電(6kWhまで対応)で、満充電まで約8時間。高速道路のSAなどに多く、外出先で使うことが多い急速充電(50kWh)なら、約40分で80%程度まで充電可能。どちらも実際に使う上で、現実的な充電性能を備えている。電池の耐久性に関しても、エアコン冷媒を用いた冷却システムを採用して温度上昇を制御することで、電池の劣化を早めると言われている高速走行と急速充電の繰り返しをしたとしても、高い充電量を維持できるようになっているという。電池の保証は新車購入から8年16万kmとのこと。

 また、近年は災害時への備えを兼ねて電動化車両の購入を検討する人も多いが、eKクロス EVもそこは抜かりなく、停電時などに家庭に電力を供給できるV2Hに対応。一般家庭1日分程度の電力が使用可能となる。アウトドアレジャー、キャンプなどで電気を使いたい人には、コンセントは装備されていないものの、V2L機器に対応しているので、それを充電口に差しこむことで、ホットプレートや電子レンジなど電化製品を使うこともできる。

 最後に、軽EVということでセカンドカーやママと子ども用のアシグルマとして検討する人も多いかもしれない。今まではまったくクルマに興味がなかった人にも、eKクロス EVはおすすめできると感じた点がいくつかある。

 まず艶やかなピアノブラックのパネルは昨今トレンドのオシャレ家電とも通じるセンスがあり、このあたりは既存のクルマに苦手意識のある女性にも、すんなりと受け入れられそうなポイント。プレミアムインテリアパッケージのシートも、女性のハンドバッグにもありそうな、少し立体的なダイヤ柄のステッチがあしらわれるなど、ファッションにうるさい女性にも響きそうな予感があった。

 そしてなんといっても、もともとeKクロスが持っているパノラマ視界による周囲の見やすさ、足の小さな人でも踏みやすいペダル類にこだわったレイアウトなど、女性ドライバーへの配慮もしっかりと生きている運転のしやすさ。

 また、万が一の緊急時に安心な通報システムをはじめ、車外からエアコン始動ができ、充電残量や駐車位置の確認などができる「MITSUBISHI CONNECT」が5年間無料サービス。三菱初搭載となる、ほぼ自動で車庫入れができる「マイパイロットパーキング」や、高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット」もパッケージオプションで選択でき、いつもの運転が格段に安心・快適になるのも大きな魅力だ。

 サステナブルな暮らしをするために、個人が大金を投入してまでEVを買うことに疑問を感じていた人。EVが欲しかったけど、ボディサイズや価格であきらめていた人。i-MiEVを愛用してきて、そろそろ買い替えたいと思っていた人にもeKクロス EVは、一気にEVへのハードルを低くしてくれる、革命的な1台になりそうだ。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

新着情報