SUPER GT第2戦富士スピードウェイでフライトパフォーマンス
レクサスとタッグを結成したことで、いろいろなタイプのクルマに試乗する機会が増えたという室屋選手。普段は空中を駆け抜ける室屋選手が求めるクルマとは、どのようなものなのだろうか。
「レクサスのエンジニアからクルマに対する評価の仕方を教えてもらっているうちに、今まで何も知らないで運転していたことがわかりました。クルマってすごい! なんか新しい世界観を感じましたね。わたしはクルマに対しては素人なので、フィードバックはあるような、ないような……。でもエアレース・パイロットの発想として解答させてもらうなら、クルマも航空機のようにダウンフォースを出さないで飛ばしたらおもしろいんじゃないかな(笑)。それこそ高速道路では100km/h近いスピードが出ているわけだから、飛ぶ力は十分にあるし、燃費も良くならないのかなって!」
5月3〜4日に開催されたSUPER GT第2戦富士スピードウェイでは、フライトパフォーマンスを披露した室屋選手。バーティカルターンをはじめとする凄ワザを披露し、多くのファンを魅了させた。一般人では想像もつかないが、パフォーマンス中にはどのようなことを考えているのだろうか? 単刀直入に聞いてみた。
「なんかまわってるなーと思うくらいかな(笑)。でも、決して今日の夜ご飯は何だろうとか、関係ないことは考えていなくて結構集中はしています。空気が体に張り付く感じや3次元における自分の居場所の確認。集中しながらもリラックスをしている感じですかね。レーシングドライバーが、タイヤがすべり出す直前がわかるイメージと似ていると思います。高度や速度、エネルギー量を把握しながら、3秒先を想像して飛んでいます」
まもなく開幕するエアレース世界選手権。3年ぶりのレースに向けて、意気込みと抱負を語ってもらった。
「準備は順調に進んでいます。他チームの状況はわからないですが、十分に勝てる体制だと踏んでいます。今年は2019年と同じ4戦と短期決戦なので、1戦も落とせません。2019年は4戦中3勝しましたが、1戦をノーポイントで終えたことが響いて、チャンピオンを逃してしまいました。全勝する必要はないかもしれませんが、コンスタントにポイントを獲得することが大事だと思います。もちろん目指すはワールドチャンピオンです」
今年は日本ラウンドがカレンダーに組み込まれていないので、室屋選手の勇姿を生で見届けられないのが残念ではあるが、2017年のチャンピオンとして健闘を祈りたいところだ。また、室屋選手とレクサスエンジニアの化学反応によって、今後どのような商品が誕生するのだろうか? 期待が高まるばかりである。