急激に街に活気が戻るとタクシーが足りなくなる
日本も今年のゴールデンウイークは新型コロナウイルスに関する規制のない久しぶりの大型連休となり各地の観光地がにぎわった。筆者も久しぶりに都内で、少々グレードの高い飲食店で会食を行ったのだが、飲み物の追加を頼んでもなかなか従業員がやってこない状況が続き、どう見ても利用客は増えたが十分対応できる人数の従業員が確保できていない様子を垣間見た。
日本でも韓国同様にタクシーや路線バスの乗務員は3年間のコロナ禍を経て離職する人が目立ち、コロナ禍前以上ともいわれる人手不足状況となっている。話を聞けば、ひどい時には月に数回程度タクシーに乗務できればマシだった時期もあったようで、そもそも高齢乗務員が目立っていたタクシー業界では、「コロナ禍を契機に」とか、新型コロナウイルスへの感染を危惧してなど、高齢ドライバーの離職が目立った。「1週間ぶりにステアリングを握ることもありましたが、そのときは感覚を戻すのに苦労しました」とは中高年タクシー乗務員。
日本の場合は、いまだに多くの企業で社員の会食や企業接待を自粛する動きも目立っており、規制が撤廃されたとはいえ韓国ほど夜の街ににぎわいが戻っているとはいえない。そもそもニューノーマルの世の中となり、今後も夜の街に人が戻ってくることはないのではないかと語るタクシー乗務員も目立つ。それはタクシーや深夜だけの問題ではなく、「路線バスでいえば、いまはコロナ禍前に比べ、利用客は7割程度しか戻ってきていません」とは事情通。
しかし、仮に6月から外国人観光客の入国を認め(当面は団体旅行のみとなるのでコントロールは効きやすいようだが)、このタイミングで企業の社員同士の会食や企業接待の自粛要請も撤廃されれば、明らかにいま以上に夜の街はにぎわうことになるだろう。ただ都内でいえば、鉄道は終電時間を繰り上げして運転しているし、路線バスは減便運行も目立っている。タクシーでは、東京隣接地域ではタクシーを呼ぼうとしても空車がいなくて配車を断られるケースが目立ってきている。
利用客が戻ってきたからといっても、そう簡単にコロナ禍前のレベルに稼働状況を戻すことは難しい。今後、バブル経済以降で久しぶりとなる深夜のタクシー争奪戦が報道で取り上げられるような社会問題化すれば、経済再生が進んでいるひとつのトピックともなるが、利用者としては困ったことになりそうだ。
ただ、そもそも働き手不足が顕著な日本では簡単に解決できない問題でもあり、根本的な公共交通機関の今後の在り方というものを考えていく必要も出てくるかもしれない。