大排気量V8のアメリカンマッスルカーにはもう乗れない! 世界的な電動化の流れで「らしいアメ車」はどうなる? (2/2ページ)

マッスルカーも過去の物となる可能性が出てきている

 では、今後の絶滅危惧種になるかもしれないアメ車とは何があるだろうか?

 最初に多くの人の頭に浮かぶのは、やはりマッスルカーだ。となれば、ダッジ「チャレンジャー」と「チャージャー」。パフォーマンス系ブランドとしてのSRTを冠として、90年代後半から2000年代初頭にかけて、新世代マッスルカーたちが生まれたが、その歴史に幕が閉じるのだろうか。

 ただし、ダッジを運用するステランティスは、ダッジの近未来に向けて「eマッスル」という電動化戦略を正式に打ち出している。

 見方を変えると、V8ビッグパワーは終焉に向かうといえるだろう。

 この論理に、フォード「マスタング」の将来も重なる。すでにBEVの「マスタング マッハE」が登場しているが、ボディ形状や商品性としてマッスルカーを継承するイメージはない。フォードとしては、伝統モデルのマスタングの名は今後も残しているのだろうが、60年代にポニーカーとして、さらにシェルビーなどの手でマッスルカーとして仕立てられたマスタングは事実上の絶滅危惧種といえるのではないだろうか。

 BEVシフトで名称は継承したが、前代モデルとは素性が違うアメ車としては、GMC「ハマー」がある。完売モデル連発の新型ハマーだが、SUVの場合、こうした復刻劇が可能であることを証明したといえるだろう。

 また、ブランドで見ると、GMビュイックがBEVシフトが加速する中で、今度どうなるのか気になるところだ。2000年代の、いわゆるリーマンショックの際、事業再生を余儀なくなれた当時のGMはサターン、ハマー、オールズモビルをブランドとして廃止した。GMはBEVプラットフォームのアルティウムを、ホンダ向けを含めたフル活用する中、果たしてビュイックがブランドとして生き残れるのか?

 いずれにしても、アメ車の未来はBEVシフトの動向に大きく左右されることになるのは間違いなさそうだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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