この記事をまとめると
■海外のクルマは日本と比べて傷や汚れが放置されていることが多い
■理由のひとつに生活習慣の違いがある
■洗車機の普及率にも違いが表れている
海外には「クルマは生活必需品」と割り切っている人が多い
「日本のクルマは、どれもとても綺麗だ」。
初めて日本にやってきた外国人旅行者やビジネスマンの多くが、日本に到着してからよく口にする言葉だ。その反対に、日本人が海外に行くと「汚れていたり、ボディに傷があるクルマがなんでこんなに多いんだ」と思う場合も少なくない。
筆者も70年代に初めてアメリカに行った時に「日本で見るアメ車はもっと立派で綺麗なのに、地元じゃ状況が違うな」と感じた。
それから間もなくして、欧州にも行くようになったが、パリに最初に行った際、路上駐車が当たり前で、しかも前と後ろの車とほとんど隙間なく止まっていることに驚いた。いったいどうやって出るのかと思ったら、地元の方が「前後のクルマにガンガンぶつけて、隙間をつくってから出るんだ」という話を聞いた時は、心底驚いたものだ。
さすがに、現在のパリではそこまで乱暴な運転をする人はいないと思うが、パリにしろ、ロンドンにしろ、ロサンゼルスにしろ、ニューヨークのマンハッタンにしろ、いわゆる経済先進国なのに、走っているクルマが汚れていたり傷があることが確かに多い。
これが、経済新興国や経済後進国ならば、道路が整備されていないとか、交通ルールがあっても実際の交通状態がかなり荒いとか、洗車や修理のコストをあまりかけたくない人が少なくない、といった論理が成り立ちそうに思える。
ところが、なぜ経済先進国でクルマが汚れていたり、少々の傷では修理しない人が少なくないのか? 明確な理由を示すのは難しいと思うが、やはり生活習慣の違いであろう。要するに、クルマは生活必需品という消耗品として見る人の絶対数が多いのだと思う。
また、企業のエグゼクティブ向けには、就業契約条件の中で社用車を個人で使用できるカンパニーカー制度があり、日常生活の中でもカンパニーカーを使うと、クルマに対して必要以上のケアをしなくなる、といえるかもしれない。
そもそも、洗車については、日本では多くのガソリンスタンドで、比較的新しいタイプの洗車機を導入しているが、欧米と比べて日本での洗車機の普及率はかなり高い印象がある。
日本の場合、地方部では、買い物や用足しで軽自動車に一人乗車する人が多い。こうした日常生活車であっても、日本人は定期的に洗車をするし、また車検制度が厳しいこともありしっかりとメンテナンスする人が少なくない。
一方で、クルマが趣味である人たちは、日本や海外を問わず、念入りな洗車とメンテナンスに心がけるのは言うまでもないだろう。