この記事をまとめると
◼︎2輪と4輪の事業がひとつとなって「HRC」が新しく動き出した
◼︎ホンダが現在開発中のスポーツカーにも手を入れてみたいとのこと
◼︎F1に関するサポートは来年以降は協議中
新生HRCがついに動き出した!
ホンダのモータースポーツ活動を担うHRCが、今後の運営方針や目標についての会見を実施した。昨期までは2輪と4輪で部門が分かれていたホンダのモータースポーツ活動だが、4月から「HRC」として統括。2輪と4輪のモータースポーツ会社として、スタートを切った。これに伴い、体制面でも見直しが図られている。
埼玉県朝霞市の2輪部門は「2輪レース部」として従来どおり2輪レースマシンの開発と運営、2輪レース用マシンを販売。一方で、4輪部門は栃木県さくら市にあるHRD Sakuraを母体に、「4輪レース開発部」としてレーシングマシンの開発を行い、運営面は新たに追加された「企画管理部」のほうで進められる。なお、本社のある青山に設置されていた「モータースポーツ部」は、発展的に解消となった。
HRCで代表取締役を務める渡辺康治氏は、会見で大きく4つの目標を掲げた。
ひとつ目はモータースポーツ活動を通じて、ホンダブランド全体のさらなる高揚を図ること。これは2輪のレース活動で世界的に知名度のあるHRCの名前を活かし、4輪レースにおいてもさらなる浸透を目指す狙いがある。
ふたつ目は持続可能なモータースポーツを実現するための対応だ。F1では先進バッテリーやE10燃料の開発を通じて、すでにカーボンニュートラルに対応した技術を磨いている。そういった4輪の強みを、2輪でも活用していきたいと渡辺氏は語る。
3つ目はモータースポーツのすそ野を広げる活動の注力である。今年から未来のレーシングドライバーを育てるSRS(鈴鹿サーキット・レーシング・スクール)が、HRS(ホンダ・レーシング・スクール)に改名。一層ホンダが意思を入れて、スクールから実践までを一気通貫で指導できる体制を作りあげた。
そして特筆すべきが、モータースポーツのイメージを活用した4輪市販車を展開していくことだ。現段階ではトヨタの“GR”やメルセデス・ベンツの“AMG”のようなハイパフォーマンスモデルなのか、もう少し一般受けするモデルなのかは協議中とのこと。ただ、ホンダは「フラッグシップ」と「スペシャリティ」をテーマにしたスポーツEVモデルの導入を、先月発表したばかり。そして渡辺氏の口からも、「HRCらしいスポーティな要素を加えられたら……」といった想いが語られた。
どんな形になるかは分からないが、“ホンダらしさ全開”なクルマである可能性は高いと想像できる。何はともあれ首を長くして続報を待ちたい。