屋根なしフロントウインドウなしなんて当たり前
3)クロスボウ(KTM)
オーストリアのKTMは痛快なバイクを多数リリースしているメーカーですが、レーシングカーコンストラクターのダラーラと共同開発してこんなクルマも作ってしまいました。
一見するとアトムにアウタースキンをかぶせたようなスタイルですが、さすがダラーラというかデザインしたデザイン会社の「キスカ」がいいのか、高速域でレーシングカー並みのダウンフォースをゲットしてくれるそうです。
カーボンモノコック構造ながら、フォルクスワーゲン製エンジンやその他コンポーネントのおかげで車重は790kgと(前出の2台と比べたら)少々かさんでいます。また、ソフトトップや荷室といった装備は一切用意されず「あるがままの環境を味わう」というピュアなコンセプトが貫かれているのもバイクメーカーのKTMらしいポイントでしょうか。
もっとも、予想以上の受注に気を良くしたのか、フロント&サイドスクリーンが追加されたGTなるモデルが「快適バージョン」としてラインアップされているのがジワります。
4)SRシリーズ(ラディカル)
発祥のイギリスのみならず、世界各国でワンメイクレースが開催されているラディカルのSRシリーズ。それこそレーシングカーに無理やりナンバー付けてる感たっぷりですが、乗ったことのある方は「予想よりはるかに快適」とのこと。ただし、「サーキットならね」と付け加えられましたが。
ヘッドライトやテールランプの形状を見ると、巧みに各国の法規をクリアしそうなデザインで、レーシングカーとして設計しながらも「ナンバーがつけられる」ように工夫している確信犯といえるでしょう。
エンジンはモデルによってさまざまですが、たとえばSR5に搭載されるのは、無限によるチューンナップ済みのホンダ製K20。287馬力で車重570kgですから、本領を発揮するのはクローズドコースがおすすめです。コースへ行くのにキャリアカーが不要というのも、ナンバー付きレーシングカーの嬉しいポイントでしょう。
とりわけそのダウンフォースは、バットマンに出てくるバットモービル並み! つまり、スピードさえ出ていれば映画のようにトンネルの天井を走り抜けられるのだそうです。
5)962LM(ダウアー・シュポルトワーゲン)
ご覧の通りグループCカーをちょちょいと手直しして、公道OKにしたのがダウアー962LM。元レーサーのヨッヘン・ダウアーが立ち上げたメーカーですが、スポンサーに名を連ねているのはポルシェAGやチーム・ヨーストなど、いわゆる「ワークス体制」の会社。コンストラクションはそのまんまポルシェ962のシャシーを使い、水冷ボクサーエンジン(935/83)を搭載するなど、生粋のCカーと呼んで差し支えないでしょう。
ご存じの通り、このダウアー962は1994年のル・マンを制したのですが、レギュレーションの隙をついたGT1カテゴリへの参戦は物議をかもしたものです。肝心のロードカーとしての販売は10台とも、32台ともいわれており、正確には不明。バイザッハの倉庫にあった962のパーツを寄せ集めて作っていたのですから、さもありなんでしょう。
ちなみに、ダウアー同様962をベースにしたシュパン962Cというロードカーもありますが、こちらは潔くカスタマーカウンターからIMSA仕様の空冷ボクサーエンジンを購入して6台が製造・販売されました。どちらにしても、公道仕様って「なんでもアリだな」と思い知らされるマシンではありますね。