最大の注目は何と言ってもディーゼルエンジンの出来栄え
まずはオンロードでディーゼルの「110X」を試す。「Xグレード」は、今回登場したアッパーグレードの高級仕様となっていて、室内の作りはラグジュアリーブランドのレンジローバーに匹敵するような高級感に溢れている。
だが、最大の注目は何といってもこのディーゼルエンジンの出来栄えにある。エンジンをスタートすると直列6気筒のディーゼルエンジンはジェネレータースターターモーターにより直ちに始動を開始し、アイドリングは極めてスムースで音も静かである。ボンネットまわりの遮音性に優れていて車外騒音も低く抑えられ、一般的な「3リッター直6のディーゼル」といったノイジーな印象はまったく受けない。もちろん音質的にはディーゼルのサウンドではあるが、「ガラガラ」とやかましいものではなく、どことなく上品な低音の迫力あるアイドリング音となっている。
走り出すとまず低速トルクの豊かさに驚かされる。もともとディーゼルは低回転からトルクが大きく発揮され、さらにターボチャージャーで過給されているので充分なパワーを発揮できるものだが、それに加えてBISGでパワーアシストされることにより、よりスムースで力強い発進加速性能を誇っている。
また、変速も極めてスムースで8速のオートマチックトランスミッションを搭載しているが、変速時にもBISGによってトルク変動が抑えられているようで、ツインクラッチDCTのように滑らかで瞬時の変速が可能だった。加速性能は素晴らしく2420kgある車体の重さをまったく感じさせないストレスフリーな走りを体感できる。微低速域から高速域まであらゆる速度域で、6気筒らしいスムースな回転フィールと力強い加速によって、オンロードでの上質な走りを実現していた。
室内はもちろん静かで快適だ。2リッター直4ガソリンターボエンジンの110と比べれば、エンジン音だけでなく加速のスムースさ、力強さ、上質感などで大きく上まわっていることが体感できるだろう。
価格は1000万円を超えるものとなり、レンジローバーにも届きそうな価格帯となってくるが、それに見合った価値は充分に与えられている。
一方、今回からデリバリーが開始された90は、従来通り2リッター直4ガソリンターボエンジンが搭載されている。2リッター直4ガソリンエンジンを搭載することで車両重量が抑えられ、ショートホイールベースで軽量かつコンパクトな車体パッケージングで2100kgという車両重量は、110Xのディーゼルから乗り比べると相当に軽く軽快に感じられる。とはいえ、車幅は1995mmとほぼ2mあルカら110モデルと変わりない。全長が4510mmでこちらは400mm以上縮められていて、外観的には非常にコンパクトな印象となっている。
90はショートホイールベースとなったことで、よりオフロード性能が向上したと考えられる。110もそうだがオフロード走行の重要な指標となるアプローチアングルやデパーチャーアングルは、アプローチアングルが37.5度、デパーチャーアングルは40度と大きく取られ、それは110も90も共通している。
一方、踏破性を判断する指標となるランプブレイクオーバーアングルについては、110は27.8度だが、90は31度とこちらも大きく取られていて、より悪路での走破性が高いということが数値的にも理解できるのだ。実際にこの90で悪路の特設コースを走ってみることにしよう。