放置した者勝ちを許さない法整備が必要
こうした場合、弁護士など法律家に相談し、内容証明郵便の返信がなかった時点で相手が所有権を放棄したとして、所有者のいない動産の所有権を法的に取得する(民法第239条の「無主物先占」)方法がひとつ。
または、(被告不在のまま)裁判所に訴えて、当該車両の撤去・土地明渡と損害賠償を求めて、訴訟を提起し、判決後、さらに裁判所に強制執行の申立をし、裁判所の許可を得て撤去する方法もある。
いずれも弁護士費用や撤去費用などをクルマの所有者から回収できない可能性が大なので、非常に頭の痛い問題だ。
ただし、成田国際空港株式会社では、平成19年10月に駐車場の管理規程を改定。
「期限を定めて車両の引取りの催告をしたにもかかわらず、その期限内に引取りがなされないときは、催告をした日から3カ月を経過した後、利用者に通知し又は駐車場において掲示して予告した上で、公正な第三者を立ち会わせて車両の売却、廃棄その他の処分をすることができる」とし、「車両を処分した場合は、駐車料金並びに車両の保管、移動及び処分のために要した費用から処分によって生じる収入があればこれを控除し、不足があるときは利用者に対してその支払いを請求し、残額があるときはこれを利用者に返還するものとする」と定めている。
そして上記の189台の放置車両のうち、63台は廃棄処分となった……。
他の空港も放置車両対策に本腰を入れて取り組みはじめ、取り締まりを強化することで、放置車両は減りつつあるが、いずれにせよ空港、そして他の利用者にも迷惑と負担をかけることになるので、法改正を含め、放置した人物が「乗り捨てたもの勝ち」にならないよう、対策していく必要があるだろう。